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JEPX高騰、再発防止に向け制度見直し始まる。需給曲線の公開は継続の意向

今冬のJEPXの取引価格高騰が小売電気事業者に与えた影響は大きい。再発を防ぐため、電力・ガス取引監視等委員会において制度の見直しに関する検討が始まった。参加した委員やオブザーバーからは、情報公開や先渡市場の活用、インバランス料金のあり方についての要望があげられた。

価格高騰の再発を防ぐために
原因追及と制度見直しがスタート

2020年末から今年1月にかけて、JEPX(日本卸電力取引所)の取引価格が異常なまでの高騰をみせたことは大きく報じられている。メインの取引市場であるスポット市場では、システムプライスが一時251円/kWhにまで跳ね上がった。過去5年間の平均価格が10円/kWh前後であったことからも、いかに異例の事態であったかが伺える。

2月5日、電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合でJEPX高騰の原因分析と再発防止のための議論がスタートした。河野太郎行政改革担当大臣が主導する内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」からも、2月3日の第4回会合において徹底した真相究明や市場制度の再設計を求める声があがっていた。

JEPXの情報公開求める声強く
需給曲線の公開続ける意向

議論では「情報公開の充実」に焦点が当てられた。中でも、JEPXの需給曲線と発電情報の公開については開示を求める意見が大半だった。JEPXの取引価格は、需要曲線と供給曲線の交わる点によって決まるが、この需要曲線は原則非公開だ。欧州の取引市場では、取り引き後すぐに需給曲線や入札情報が公開されている。(参照『日本唯一の卸電力取引所「JEPX」とは? 取引価格はどう決まる? 』)

現在は、市場参加者の要望により1月22日から暫定的に公開されており、この継続が求められている。今回の議論を踏まえ、JEPX側は、今後も需給曲線の公開を続ける意向を明らかにした。

高騰の原因のひとつは、火力発電の燃料であるLNGの在庫不足だと考えられている。そのため、小売電気事業者からは「発電所の稼働状況や燃料在庫及びその見通しなど、発電に関する情報を広く公開してほしい」というニーズがあがっていた。これを受け、発電所の稼働状況や見通しの公開についてどのように取り扱うかという議論が始まった。

参加した委員からは「電力需給が日本全国で厳しい非常事態であるというシグナルをもっと明確に発するべき」や「個社の発電情報ではなく全体の状況についての情報発信が必要だ」といった意見があがった。

また、2022年度に予定されているインバランス料金の制度の早急な見直しや、将来に受け渡す電力先渡市場の活用についても要望が多かった。

DATA

電力・ガス取引監視等委員会 第55回制度設計専門会合


文:山下幸恵(office SOTO)

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