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第6次エネルギー基本計画の素案まとまる! 2030年エネルギーミックス暫定版も提示

再エネの主力電源化を徹底し、
再エネに最優先の原則で取り組む

今回の「第6次エネルギー基本計画」素案には、再エネ重視の姿勢が明確に示されている。前頁に記した「2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応」の中だけでなく、次章の「2050年を見据えた2030年に向けた政策対応」の中にも、“再エネ最優先の原則”と“主力電源化の徹底”が繰り返し謳われている。

現行の第5次エネルギー基本計画(2018年)においても「再エネの主力電源化を目指す」と書かれてはいるが、他の電源より優位に立つものではなかった。

一方で今回の素案は、同じ脱炭素電源の中でも、他の電源より再エネを優先するという方針を明確に示した内容となっている。


──以下、「第6次エネルギー基本計画」素案の「2050年を見据えた2030年に向けた政策対応」より抜粋──

再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しない脱炭素エネルギー源であるとともに、国内で生産可能なことからエネルギー安全保障にも寄与できる有望なエネルギー源である。S+3Eを大前提に、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促す。

具体的には、地域と共生する形での適地確保、コスト低減、系統制約の克服、規制の合理化、研究開発などを着実に進めていく。こうした取組を通じて、国民負担の抑制や、電力システム全体での安定供給の確保、地域と共生する形での事業実施を確保しつつ、導入拡大を図っていく。

太陽光

平地面積当たりの導入容量が世界一であるなど、これまで、再生可能エネルギーの主力として導入が拡大し、事業用太陽光については発電コストも着実に低減している。同時に、大規模に開発できるだけでなく、個人を含めた需要家に近接したところでの自家消費や地産地消を行う分散型エネルギーリソースとして、レジリエンスの観点でも活用が期待される。

一方で、今後の導入拡大に向けては、地域と共生可能な形での適地の確保、更なるコスト低減に向けた取組、出力変動に対応するための調整力の確保や立地制約の克服に向け更なる技術革新が必要である。

中長期的には、コスト低減が達成されることで、市場売電を想定した大型電源として活用していくとともに、分散型エネルギーシステムとして昼間のピーク需要を補い、消費者参加型のエネルギーマネジメントの実現等に貢献するエネルギー源としての位置づけも踏まえた導入が進むことが期待される。

風力

風車の大規模化、洋上風力の拡大等により、国際的に価格低下が進んでいることから、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源であり、我が国においても今後の導入拡大が期待される。

今後、適地の確保や地域との調整、コスト低減に加え、北海道、東北、九州などの適地から大消費地まで効率的に送電するための系統の確保、出力変動に対応するための調整力の確保、蓄電池の活用などを着実に進める。

陸上風力は、適地の確保とコスト低減を引き続き進めていく。また、特に、洋上風力は、大量導入やコスト低減が可能であるとともに、経済波及効果が大きいことから、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として推進していくことが必要である。

地熱

世界第3位の地熱資源量を誇る我が国では、安定的に発電を行うことが可能なベースロード電源を担うエネルギー源である。また、発電後の熱水利用など、エネルギーの多段階利用も期待される。 

一方、開発には時間とコストがかかるため、投資リスクの低減、送配電網の整備、地域と共生した開発、関連法令の規制の見直しによる事業環境の整備等に取り組み、地域への配慮を前提とした地熱開発の加速化やコスト低減を図り、中長期的な視点も踏まえて持続可能な開発を進めていくことが必要である。

水力

純国産で、渇水の問題を除き、天候に左右されない優れた安定供給性を持つエネルギー源である。また、地域共生型のエネルギー源としての役割を拡大していくことが期待される。このうち、一般水力(流れ込み式)については、運転コストが低く、ベースロード電源として、揚水式については、再生可能エネルギーの導入拡大に当たっても必要な調整電源として重要な役割が期待される。

一方で、2030年までという時間軸で大水力の新規開発は困難であることから、他目的で利用されているダム・導水等の未利用の水力エネルギーの新規開発、デジタル技術を活用した既存発電の有効利用や高経年化した既存設備のリプレースによる発電電力量の最適化・高効率化などを進めていくことが必要である。

バイオマス

木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電は、災害時のレジリエンスの向上、森林整備・林業活性化などの役割を担い、地域の経済・雇用への波及効果が大きいなど、地域分散型、地産地消型のエネルギー源として多様な価値を有するエネルギー源である。

一方、エネルギー利用可能な木質や廃棄物などバイオマス資源が限定的であること、持続可能性の確保、そして発電コストの高止まり等の課題を抱えることから、森林・林業施策などの各種政策を総動員して、持続可能性の確保を大前提に、バイオマス燃料の安定的な供給拡大、発電事業のコスト低減等を図っていくことが必要である。

輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続することが必要である。

水素・アンモニア
水素は、電力分野の脱炭素化を可能とするだけでなく、運輸部門や電化が困難な産業部門等の脱炭素化も可能とする。技術的な課題の克服、インフラ整備、コストの低減を行い、分野ごとに具体的な社会実装を見据えた取組を進める時期に入っている。

また、水素・アンモニアは、多様なエネルギー源から製造することが可能であるため、国内資源の活用を含むエネルギー調達先の多様化を通じ、エネルギー安全保障の強化にも寄与する。

余剰の再生可能エネルギー電力等から水素・アンモニアを製造することで、脱炭素電源のポテンシャルを最大限活用することを可能とするだけでなく、CCUSと組み合わせることで、化石燃料をクリーンな形で有効活用することも可能とする。

2030年に向けた具体的な取り組み
(再生可能エネルギー)

地域と共生する形での適地確保
改正温対法に基づく再エネ促進区域の設定(ポジティブゾーニング)による太陽光・陸上風力の導入拡大、再エネ海域利用法に基づく洋上風力の案件形成加速などに取り組む。

事業規律の強化
太陽光発電に特化した技術基準の着実な執行、小型電源の事故報告の強化等による安全対策強化、地域共生を円滑にするための条例策定の支援などに取り組む。

コスト低減・市場への統合
FIT・FIP制度における入札制度の活用や中長期的な価格目標の設定、発電事業者が市場で自ら売電し市場連動のプレミアムを受け取るFIP制度により再エネの市場への統合に取り組む。

系統制約の克服
連系線等の基幹系統をマスタープランにより「プッシュ型」で増強するとともに、ノンファーム型接続をローカル系統まで拡大。再エネが石炭火力等より優先的に基幹系統を利用できるように、系統利用ルールの見直しなどに取り組む。

規制の合理化
風力発電の導入円滑化に向けアセスの適正化、地熱の導入拡大に向け自然公園法・温泉法・森林法の規制の運用の見直しなどに取り組む。

技術開発の推進
建物の壁面、強度の弱い屋根にも設置可能な次世代太陽電池の研究開発・社会実装を加速、浮体式の要素技術開発を加速、超臨界地熱資源の活用に向けた大深度掘削技術の開発などに取り組む。


取材・文:廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.38(2021年夏号)より転載

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