注目キーワード

太陽光発電

JPEA理事・伊藤敦氏に訊く! 太陽光の「TPOモデル」が持つポテンシャルとは?

近年、注目を集めている「TPO(Third-Party Ownership)モデル」を提供するネクストエナジー・アンド・リソース。その代表であり、JPEAの理事も務める伊藤敦氏に、「TPOモデル」のポテンシャルと今後のビジョンを聞いた。

低コストで太陽光発電を導入!
TPOモデルの可能性とは?

─四国電力、CATLと、「TPOモデル」の普及に向けた業務提携のお取り組みを強力に進めておられます。このビジネスモデルはどのようなポテンシャルを持っていますか?

まず「TPOモデル」とは、TPO事業者が太陽光パネルや蓄電池などの設備をユーザーへ提供し、ユーザーはその設備の電気を使うという第三者所有モデルのことです。

当社は早い段階からこのモデルを構想していました。その方が、太陽光発電、蓄電池を普及させるための流通コストが低く抑えられ、より早く普及が促進するからです。

例えば、住宅用蓄電池なら流通コストは製品と同価といわれています。つまり、100万円の製品なら100万円の製品なら100万円の流通コストがかかるといわれています。販売会社はそれくらい粗利益をとらないと割に合わないという事情があります。

しかし、「TPOモデル」なら設備購入が不要で、流通コストが下がり、ユーザーは安い電気を買うだけでよくなります。そうなれば手の届くユーザーも一気に増えるでしょう。トータルで見れば、結果的に供給者も需要家も安いコストで太陽光発電を導入できることになります。

1年ほど前から、太陽光発電業界ではTPOモデルに参入する企業が増えています。当社も東京ガス様や四国電力様と組んでいます。他にも商社系の企業様とも交渉中です。大手企業が続々動き始めています。あと2~3年もすればスタンダードになっているでしょう。

当社はTPOサービスをより普及させるために軽量モジュールや自家消費に対応した周辺機器も提供しています。また、移転によって切れる製品保証については、当社にはいくつかの条件下で継続できるサービスがあります。

他のTPOサービスと全く違うのは、2020年くらいから蓄電池を加えたモデルを出すということです。CATLは2年連続でリチウムイオン電池のシェアが世界トップです。そういった実力ある企業と協力し、コストパフォーマンスの良い蓄電池を提供していきたいですね。

当社は、いずれ蓄電池コストが4分の1になると予測しています。そうなれば、調整可能な電源のコストが3分の2になるので、一気に太陽光発電へ電源を切り変えられると思います。

太陽光発電が適切に
普及していくためには?

─一部の自治体が検討を進めている「法定外目的税の導入」について、どのようにお考えでしょうか?

こちらはJPEAの見解が全てです。二重課税になってしまいますし、太陽光発電の普及を阻害する要因になるので反対の立場です。これが実現してしまうと、間違いなく全国へ波及するでしょう。

自治体としては少しでも税金をとれた方が良いですから。事業税を払うなど、業者はすでにそれなりの納税をしているので、どちらかにすべきだと思います。

―施工や土木の不備による発電所の崩壊をはじめ、太陽光発電に関するネガティブなニュースが散見されます。「太陽光発電が適切に普及するための課題」について、お考えをお聞かせください。

太陽光発電所建設への反対運動があるのは承知していますが、地元との調整が大事なのは当たり前のことです。それを一部の会社が無視し、開発するのは無理があるのではないかと思います。きちんと地元と合意形成した上で開発に臨むべきです。

その上で安全を担保するのも当然で、普通の風雨や降雪によって事故が生じたのだとすれば、設計ミスなど配慮が足りなかったといわれても仕方がありません。それは業界全体で取り組んでいかないといけない問題だと思います。

昔は構造計算がされていない発電所が散見していました。そのような発電所は負の遺産になるでしょう。当社ではこれを「稼働市場」と位置付けています。問題が起きそうな、またはすでに起こってしまった発電所を補修し、きちんとした発電事業者に集約していくのが当社の大事な役割だと認識しています。これからも負の遺産をビジネスに転換できるように取り組んでいきます。

再エネを「違う産業と紐づける」

―「分散型エネルギー」の普及が進んだ先に、どのような社会を描いておられますか。またどのような貴社の長期的なビジョンをお持ちでしょうか?

当社では現在のフェーズを「NER2.1」と名付けています。NERとは当社の略名で、当社なりの太陽光発電業界の時期区分です。

「NER1.0」はFITでの普及期を指し、「NER2.0」は自家消費、蓄電池、稼働後市場の3つが中心でした。それが2年前までで、つい最近「NER2.1」になりました。蓄電地と太陽光発電をカップリングしたビジネスを考えたり、ユーティリティ企業との連携を深めていくフェーズです。

そして、再エネ蓄電池をさらに安くしたり、これまでつけられなかった壁面設置を可能にしていくフェーズを「NER2.2」と位置付けています。

その中にはオフグリッドもあります。例えば、田舎の一軒家などにも電線をひかなければいけませんが、それを太陽光発電でまかなえば系統が不要になり、その分のコストを抑えられます。そうした電力供給のあり方そのものを変えていくのも「NER2.2」の目標の1つです。

その先に「NER3.0」を見据えています。農業と再エネをつなげていくフェーズです。系統も何もない農地に「TPOモデル」の太陽光発電を導入し、安い電源を活用しながら食料生産ができる。電気を各地に送るという発想から、生産した電気で食料を作るという発想に転換すれば、さらに再エネは普及していくでしょう。

違う産業と紐づけていくのが「NER3.0」の真骨頂です。我々の世代で、ここまでの実現を目指していきます。

―注目を集める「TPOモデル」のポテンシャルのみならず、太陽光発電業界が抱える課題や貴社の将来のビジョンについて語っていただき、ありがとうございました。

DATA

ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社

関連記事

アクセスランキング

  1. なぜ日本で洋上風力が広まらないのか? 参入における2つの障壁とは
  2. ついに、FITからFIPへ! 市場価格に上乗せされる「プレミアム」ってどう決まる?...
  3. 今さら聞けない! 仮想発電所(VPP)とは?
  4. 風車の種類は大きく2種類!? 風力発電入門講座
  5. 既存のクルマを電気自動車に!? 改造EVが町にあふれる日(前編)
  6. JPEA、破損した太陽光パネルを適正処分できる企業一覧を公表
  7. コロナによる電力需要減を受け、日本でも「再エネ主力電源化先取り」の兆しが!...
  8. 洋上風力の「有望区域」今年度も4か所を選定。青森沖など東北が中心
  9. 「再エネ海域利用法」とは? 新法の狙いと仕組みを解説
  10. 地域を潤す再エネ事業「シュタットベルケ」の神髄がここに!

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.34 / ¥0
2020年7月31日発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ 太陽光業界最新ニュース