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売れるだけが価値じゃない! 太陽光発電2つの使い方

2012年のFIT(固定価格買取制度)施行によって爆発的に普及した太陽光発電所。その多くが、固定価格による売電を目的としています。FIT導入から丸8年が経ったいま、売電だけを目的としない太陽光発電の使い方が、徐々に広まってきています。

①危機対応が変わる自家消費
BCP・災害対策だけでなく企業価値向上にも


2019年11月から順次、FITの買取期間満了を迎える卒FIT住宅が生まれています。その数は2020年で累積73万件。2023年までに165万件・670万kWに達します。これらの住宅は、引き続き余剰電力を売電することもできますが、コストダウンが著しい蓄電池やクルマに搭載された大容量のバッテリーを使って、自宅で生み出した電気を余すことなく使う、という選択肢もあります。万が一の停電時に自宅に電気を供給できる電源として、屋根上のパネルやバッテリーが活躍するのです。 

また、工場屋根や駐車場に太陽光発電設備を導入して自家消費すれば、最大消費電力をピークカットし、電力コストを削減できます。BCP対策としても有効です。設備導入の初期コストを抑えられる「第三者所有モデル」も続々登場。RE100やRE Actionなど、世界や日本で再エネを使いたいという需要が日に日に高まっています。その背景には、気候変動に対する危機意識があり、再エネの利用は企業の価値を高めることにもつながります。 

②農業が変わるソーラーシェアリング
課題解決へFIT継続の政策支援


千葉県匝瑳市にある設備容量1MWの「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」。(写真:片岡一史)

農地に太陽光発電設備を立て、営農と売電を同時に行うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)。作物によっては遮光することでむしろ収穫増も期待できるという一石二鳥の仕組みです。これは、増大する耕作放棄地や担い手不足など、日本の農業が抱える課題を解決するツールとして、太陽光発電を使うということ。 

ソーラーシェアリングを設置するための農地転用許可実績は、2018年度までで累積1,992件、560ha。生産されている農作物は野菜・観賞用植物・米・果樹など様々です。 

2020年1月には、国会で「営農型太陽光発電」という言葉が初めて取り上げられ、首相答弁によって、営農型太陽光発電は「荒廃農地の再生のみならず地域社会の発展に資する有用な取り組みである」という政府認識が示されました。自家消費要件が適用される低圧案件でも、営農型太陽光発電は「10年間の農地転用許可が得られて」「災害時の活用が可能である」ものに関してはFIT認定の対象とされています。 

耕作放棄地と耕地利用率の推移


出典:農林水産省


SOLAR JOURNAL vol.34(2020年夏号)より転載

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