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太陽光発電

メガソーラーを着実に開発! フランス発グローバル企業トタルが日本のエネルギー市場を支える

世界トップ5の総合エネルギー企業トタルが、長年の実績と強固な財務基盤を背景に日本での太陽光発電所建設を本格化している。世界各地での開発のノウハウを武器に、地元密着型の事業を目指す。

市有地を借りた背景に
地元自治体との信頼関係

総合エネルギー分野で世界トップ5にランクインする、フランスのトタル社が、再生可能エネルギーで日本での存在感を強めている。

同社は1924年、フランス国営石油会社として設立。石油、天然ガス(LNG)、電力を生産・販売する総合エネルギー企業として、従業員約10万人、世界130ヶ国以上でビジネスを展開している。

再エネ事業関連では2011年、アメリカの太陽光発電パネルメーカー、サンパワーを子会社化した。

トタル社の再エネに対する思想が色濃く表れているのが、2017年4月に岩手県宮古市で工事を開始した日本で2例目となる太陽光発電所だ。宮古市の沿岸部は2011年の東日本大震災で甚大な被害を受け、大規模停電も経験した。そのため復興策の一つとして再エネを積極的に推進し、様々な企業が参入していた。

トタル社はサンパワー社とメガソーラーの協業を進める中で宮古市にアプローチする機会を得て、太陽光発電所「宮古くざかいソーラーパーク」を建設することになる。2年の建設期間を経て2019年5月に操業開始。サンパワー社製のソーラーパネルを約77000枚使用し、25MWの発電量を誇る。EPCは東光電気工事が担当した。

特徴は、宮古市から市有地を借りていることだ。宮古市は東西に長く、盛岡市との境で津波の被害を受けなかったエリアの遊休地を発電所用地として借りた。それができたのも、トタル社が企業としての信頼を築いていたからだった。

未稼働はFIT失効も
急がれる系統連系工事

近年、太陽光発電所の建設をめぐっては、環境保全の観点から地元の反対運動が起こるなど一部で社会問題化している。

だが、トタル社は世界各地での開発経験から「地元との関係が非常に重要なポイント」(同社日本支社事業開発部の榊田剛ジェネラル・マネージャー)だと認識しており、定期的に地元を訪れて進捗を報告するなどコミュニケーションを欠かさない。海外企業だからこそ、こうした信頼関係が日本で長く発電所を運営する基本だというのがトタル社の考えだ。

環境問題に関心の高い日本企業との協力も惜しまない。

宮古市の場合、建設期間中に新しいパートナーとして日本を代表する電力会社である中部電力が出資者として加わり、事業の基盤を強化した。

中部電力は再エネを主力電源の一つと位置づけ、2030年頃に200万kW以上の新規開発を目標に掲げており、両社の思いが一致したという訳だ。

日本支社は1957年に東京で開設され、フランス本社の事業推進をサポートする窓口として60年以上、日本国内で活動してきた。長い歴史の中で国内大手エネルギー関連企業や金融機関との関係を築き、それが再エネ事業にも生かされてきた。

そんな同社が初めて日本で再エネ事業を手掛けたのは2015年。日本の鶏卵業界のリーディングカンパニーであるイセグループ(富山県高岡市)が、石川県七尾市の遊休地活用のため太陽光発電所の建設を検討していたところ、様々な交流の中でトタル社を知りアプローチした。そこでトタル社は、サンパワーと共に27MWの太陽光発電所を建設した。

昨年、再エネ特措法改正案が国会で可決され、一定期限内に運転開始しない太陽光発電事業はFITの認定が失効される新しい制度が導入されることになった。長期未稼働案件に対する抜本的見直しで、早急に一定条件を満たなさなければFIT認定が失効してしまう恐れがある。

そんな中でトタル社は、信頼ある発電事業者としてFIT事業保有者とのさらなる協業、FITに依存しないメガソーラーの事業モデルとしての入札、企業(電力需要家)が独立系発電事業者と長期間の電力購入契約を直接結ぶコーポレートPPA事業、これら3つの展開に必要な新規の事業用地を探している。

トタル・グループの歩み

●1924:フランスで創業

●1953:日本で事業を開始

●1957:東京でフランス本社をサポートする窓口として日本支社を開設

●2011:アメリカの太陽光発電パネルメーカー、サンパワーを子会社化

●2017:PROJECT 1 石川県七尾市にて日本において初の太陽光発電所の運転を開始

●2019:PROJECT 2 岩手県宮古市にて日本における2番目の太陽光発電所の運転を開始

●2019:PROJECT 3 宮城県大郷町にて、日本における3つめの太陽光発電所の建設を開始

●2021:三重県津市で、日本において4番目となる太陽光発電所の建設を開始

PROJECT 1 石川県七尾市


イセ・トタル七尾発電所(石川県七尾市・27MW、2017年4月運転開始)

トタル社の記念すべき日本最初の発電所。卵業界のリーディングカンパニー、イセグループの遊休地の中で最も広い土地を開発した。サンパワーの高効率太陽光パネルにより、一般的なパネルを設置したときと比較して45%多い発電量を実現した。

PROJECT 2 岩手県宮古市


宮古くざかいソーラーパーク(岩手県宮古市・25MW・2019年5月運転開始)

宮古市西部の遊休地だった市有地を発電所用地として活用。たまたま送電線が近くにあったことも奏功した。市有地を借りられたのは、トタル社の実績と周辺環境に配慮した計画などで信頼を獲得したからだ。例えば、自主的な現地動植物調査を実施して、その結果を市に報告するなど、環境の保全に努めた。現地見学のニーズもあり、地元向けに見学会を催すこともある。

PROJECT 3 宮城県大郷町


宮城大郷ソーラーパーク(宮城県大郷町・52MW・2021年運転開始予定)

大郷町の町有地を活用。ソフトバンクグループの子会社であるSBエナジーと東北電力による特別目的会社、「宮城大郷ソーラーパーク合同会社」が発電所事業を行う。トタル社の日本における太陽光の総発電規模が100MWに達した。

PROFILE

トタル・インターナショナルS.A.,
日本支社 事業開発部 ジェネラル・マネージャー

榊田剛氏

問い合わせ

トタル・インターナショナルSA.,日本支社
東京都港区赤坂4-2-19 赤坂シャスタ・イースト2階
TEL:03-5562-5211


取材・文:大根田康介

SOLAR JOURNAL vol.37(2021年春号)より転載

Sponsored by トタル・インターナショナルSA.

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