大電流パネルに対応した新50kWパワコン MPPTあたりの最大電力入力値36%アップ
2023/02/09
セルの大型化や発電効率の向上を背景に、高出力化が急速に進む太陽光パネル。それに伴い、パネルの最大出力電流も上がっており、これに対応できるパワーコンディショナが少ないという問題が生じている。こうした状況を踏まえ、ファーウェイが50kW三相パワーコンディショナの新製品を発売した。
安全対策・影対策も強化され、大規模自家消費案件にもフィット
高出力・大電流パネルが問う
パワーコンディショナの性能
近年、太陽光パネルの高出力化・大型化が急速に進んでいる。FITスタート当初は300W以下が一般的だった最大出力だが、今日ほとんどの大手パネルメーカーが600Wクラスの製品を
ラインナップしている。2020年以降、この流れは加速しており、現在では800Wクラスの製品を販売するパネルメーカーもある。高出力・大型パネルは、発電所建設にあたってパネル設置枚数を抑えることができるので、建設費はじめ導入コストの低減にも役立っている。一方、高出力であることに連動して、パネルの出力が最大になるときの動作電流(最大出力電流)も大きくなっており、これに対応できるパワーコンディショナが少ないという問題が顕在化し始めている。パワーコンディショナが対応していないと、高出力=大電流パネルの性能を引き出すことができず、システム構築にも様々な制約が生じてしまうのだ。
最大入力電流値を引き上げ
高出力・大電流パネルに対応
こうした状況を受けて、ファーウェイは、最大入力電流値を大幅に引き上げ、大電流パネルへの最適化を図ったパワーコンディショナ「SUN2000-50KTLNHM3」を発表、1月より販売を開始した。この新機種は定格出50kW、DC1100Vの高圧・特高向け三相パワーコンディショナ。4つのMPPT回路をもち、最大8ストリングの入力が可能だ。大電流パネルへの対応力を左右する最大入力電流値は、1MPPTあたり従来比36%アップの30Aを誇る。これは、パネル側の最大出力電流に対応するもので、30Aまでのパネルについて最大電力点追従ができることを意味する。一般に500〜600Wクラスのパネルでも最大出力電流は13〜17A程度なので、余裕の性能といえるだろう。1MPPTに2ストリングを入力した場合でも、十分にパネル性能を引き出すことが可能だ。パワーコンディショナの最大入力電流値が上がったことにより、大電流パネルを過積載した設備においても、ピークカットの発生が抑えられるというメリットも生まれてくる。高出力な大電流パネルの導入を検討している発電事業者にとって、同パワーコンディショナは、おおいに注目される存在になるだろう。
火災を防ぐAFCI機能で
高い安全性を確保
「SUN2000-50KTLNHM3」には、最大入力電流値を高めたこと以外にも、同クラスの従来機種にはなかった特筆すべきポイントがある。その1つが、MPPT単位でのAFCI機能の搭載だ。ファーウェイのAFCIとは、アークの発生を瞬時に検出し、0・5秒以内に電流を遮断し、火災に至る前にアークを消弧させるというもの。アークとは、大気中に電子がプラズマ状態で継続して放出される現象で、太陽光発電設備の火災事故原因に挙げられることが多い。AFCIは、万一の火災が甚大な被害を招きかねない工場等の屋根上設備において、特に重要な意味をもつ。同パワーコンディショナは、高い安全性が求められる自家消費型太陽光発電システムにも相応しいものとなっているのだ。
オプティマイザと連携し
発電量の最大化を実現
もう1つの特長は、オプティマイザへの対応だ。同社オプティマイザと組み合わせることで、影による影響を低減し、発電量の最大化を図ることができる。オプティマイザはパネルごとに設置する機器であり、これを付けることにより、それぞれのパネルの最適化を実現する。影がかかるパネルがあっても他のパネルに影響を及ぼすことがなく、パネル配置の自由
度も格段にアップする。これもまた設置場所に制約の多い自家消費型システムにおいて、大きなメリットになるものといえるだろう。同社オプティマイザは必要なパネルだけに設置すれば良いので、費用を極力抑えて、高効率なシステムを組むことができる。大電流化した高出力・大型パネルに対応し、屋根上設置の要請にも応える「SUN2000-50KTL-NHM3」。大規模発電所から自家消費型システムまで、これからのニーズに幅広く応えるファーウェイの自信作だ。
華為技術日本株式会社/ファーウェイ・ジャパン
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取材・文:廣町公則