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FIT抜本見直し概要~再エネ電源の区分で違う支援制度の内容~

再生可能エネルギーは、新たなフェーズに突入する。FIT抜本見直しの中身が、いよいよ見えてきた。激変する事業環境を生き抜くために、いま何をしなければならないのか。それを知るには、まず制度改革の中身を把握しなければならない。先ごろ公表された経済産業省の委員会案をひも解く。

再エネの事業環境が
激変する

FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の抜本見直しを議論してきた経済産業省の審議会「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」の委員会案が、昨年12月に「中間取りまとめ(案)」として公表された。1月24日に締め切りとなったパブリックコメントの結果を踏まえ、正式に決定される。
 
FIT制度は、再エネ導入初期における普及拡大と、それを通じたコストダウンを実現することを目的として、時限的な特別措置として創設されたものだ。同制度を定める再エネ特措法にも、2020年度末までに“抜本的な見直し”を行う旨が規定されており、今回の見直しはそれに沿って行われている。
 
発表された委員会案には、まだ詳細の固まっていない部分も多いが、2012年のFITスタート以来、最大の制度改革となることは間違いない。本誌前号(Vol.31)でも紹介した通り、競争力のある電源についてはFIT制度による支援自体がなくなり、市場取引を前提にしたFIP(フィード・イン・プレミアム)制度に移行する。
 
他の電源については、当面FIT制度が継続されるが、これまでとはまったく異なる認定要件が加えられることとなった。委員会案の中身は、どのようなものなのか。以下、制度変更に直接関わる部分を抜粋し、その要旨を記す。


電源の特性に
応じた支援制度

再エネの「主力電源化」という大きな目標の実現に当たっては、再エネが、他電源と同様に電力市場に統合されていく電源となることが必要である。
 
発電コストが着実に低減している電源または低廉な電源として活用し得る電源(大規模事業用太陽光発電風力発電等)については、今後、さらにコスト競争力を高めてFIT制度からの自立化が見込める電源として、入札を通じてコストダウンの加速化を図るとともに、電力市場の中で競争力のある電源となることを促す制度を整備していくことが適切である。
 
一方、需要地に近接して柔軟に設置できる電源(住宅用太陽光発電小規模事業用太陽光発電等)や、地域に賦存するエネルギー資源を活用できる電源(小規模地熱発電小水力発電バイオマス発電等)については、災害時のレジリエンス強化等にも資するよう、需給一体型モデルの中で活用していくことが期待される。
 
FIT制度の抜本見直しに当たっては、電力市場でコスト競争に打ち勝って自立的に導入が進んでいくことにより、競争力ある電源への成長が見込まれる電源(競争電源)と、需給一体的に活用され、災害時のレジリエンス強化やエネルギーの地産地消に貢献することにより、地域において活用され得る電源(地域活用電源)とに分け、支援制度の詳細設計を進めていく必要がある。
 

再エネ電源の区分

競争電源

・大規模事業用太陽光発電
・風力発電、等

FIP制度に移行
 

地域活用電源

・小規模事業用太陽光発電
・住宅用太陽光 ・小水力発電
・小規模地熱発電
・バイオマス発電、等

条件付きでFIT継続
 

現時点では不明なもの

・中規模水力発電 ・大中規模地熱発電
・大規模バイオマス発電 ・小型風力発電

 

ココがポイント!
●再エネは「競争電源」と「地域活用電源」に区分けされ、それぞれに異なる支援制度が適用される。
(ただし、詳細な区分は現時点ではできていない)
●競争電源は、FIT制度からFIP制度に移行する。
●地域活用電源は、条件付き(地域活用要件)でFIT制度が継続する。




取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.32(2020年冬号)より転載

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