環境省、2021年度概算要求はエネ特で2254億円に。PPA活用など強化
2020/11/12
環境省の2021年度概算要求は、エネルギー対策特別会計が前年の1.3倍に増額。“脱炭素でレジリエント”をキーワードに、PPAなどへの支援が盛り込まれた。再エネ設備のコスト低減と調整機能を両立させ、主力電源化を後押しする。
エネ特予算額は2,254億円
2020年度比で約1.3倍に
環境省が9月30日、2021年度予算の概算要求を発表した。エネルギー対策特別会計(エネ特)は2,254億円で、2020年度の予算額1,745億円の約1.3倍となった。脱炭素化社会への移行を加速し、循環型経済と分散型社会による地域循環共生圏の創造を目指す。
エネ特の国内展開の柱は、以下の3本だ。「脱炭素でレジリエントかつ快適な地域とくらしの創造」「脱炭素のための技術イノベーションの加速化」「グリーンファイナンスと企業の脱炭素経営の好循環の実現、社会経済システムイノベーションの創出」だ。
予算要求額は「脱炭素でレジリエントかつ快適な地域とくらしの創造」が1,384億円。このうち、PPA活用による再エネ・蓄電池導入促進事業には186億円が配分され、2020年度の40億円から大幅に増額した。
新規事業として、地方自治体の避難所などに自立・分散型のエネルギー設備を導入推進する事業に92億円などが盛り込まれた。
オンサイトPPAを後押し
需要側を制御する調整システムも
(出典:環境省)
「PPA活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」は、一部を総務省、経済産業省と連携して行う。再エネ設備や蓄電池の導入を後押しすることで価格の低減と調整力の確保を目指す。
発電事業者などが需要家の施設に太陽光発電設備を設置し、電気利用料として費用回収するのが、オンサイトPPAモデル。こうした新手法を後押しすることが明記された。また、需要側の運転制御による需給バランスの調整のためのシステム導入支援も含められた。
環境省は、地域循環共生圏を「ローカルSDGs」と呼び、プラットフォームの形成に力を入れている。地域循環共生圏とは、各地域の資源を活用しながら自立・分散型の社会を目指し、地域同士で補完しながら環境・経済・社会の循環を目指す考え方だ。
こうした背景もあり、地域の再エネ活用によるエネルギー自給率と防災性の向上を両立する自立・分散型のエネルギー事業を強化する。これは、新型コロナウイルス・パンデミック後の強靭な地域社会・経済づくりにも寄与するとしている。
DATA
環境省:令和3年度(2021年度)エネルギー対策特別会計概算要求
文:山下幸恵(office SOTO)