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新電力24社、容量市場へ要望書。制度や入札結果の見直しを求める

9月14日の容量市場の初回メインオークションの結果は、実に驚くべきものだった。ほぼ上限価格での約定。小売電気事業者などが負担する容量拠出金は、2024年の単年度で約1.6兆円にのぼることが予想されている。この結果に対し、新電力24社が結集して声を挙げた。

発電所の運営を支える容量市場
送配電と小売が拠出金を負担

そもそも容量市場とは、4年後の供給力(kW価値)をあらかじめ入札で確保するものだ。発電事業者の将来の見通しをさせやすくする意図がある。収支の予見性を高め投資を促すことが目的のひとつだ。また、落札した電源は契約期間中は入札の条件通りに稼働することが求められるため、電力供給の信頼性も担保できる。

容量市場に参加する発電事業者は、対象年度の発電所の維持コストや新設費用を算出して応札する。落札すれば、発電所の容量に応じた容量拠出金を手にできる仕組みだ。この容量拠出金とは、沖縄電力をのぞく一般送配電事業者と小売電気事業者の負担によって捻出される。

日本では、2024年からkW価値の受け渡しが予定されている。一方で、欧米諸国では先行して容量市場が導入されている。例えば、アメリカ北東部のニューイングランド州では1998年から、ヨーロッパでは2014年からイギリスやベルギーが容量メカニズムを採用している。

新電力事業の存続に関わる
容量市場のあり方の見直し求め

9月14日、電力広域的運営推進機関(OCCTO)によって容量市場の初回メインオークションの約定結果が発表された。約定価格は上限価格より1円安い1万4,137円/kW。これは諸外国に比べて高い水準で、2024年度の容量拠出金は約1兆5,987億円にのぼると予想されている。

容量拠出金の負担額は、一般送配電事業者が約1,336億円で小売電気事業者が約1兆4,650億円。小売電気事業者の電力販売シェア(供給kW)に応じて負担額が案分される。これは、小売電気事業者側からみると一方的な負担の増加になりかねない。

負担増への対処として、経済産業省は「容量市場にかかる既存契約見直し指針」を発表している。発電事業者に対し、小売電気事業者との相対契約の料金を、容量市場からの収入に応じて下げるよう求めるものだ。しかし、相対契約とはあくまで民間事業者間の協議によって成立するものであり、この指針はガイドラインにとどまっている。

この問題に対して9月28日、自然電力株式会社や湘南電力株式会社など新電力24社が「容量市場に関する要望書」を発表。経済産業大臣と環境大臣に宛てた。要望書では、減価償却を終えた古い発電所を容量市場の対象から外すことや、目標調達量を最小化する措置の検討を求めた。また、新電力に不利な容量市場のあり方を根本から見直し、今回のメインオークション結果の詳細な分析も要望した。10月5日には小泉環境大臣と意見交換も行った。

経済産業省の有識者会議では、今回のメインオークションでは不当な売り惜しみや価格つり上げはなかったと報告されている。しかし、自社電源を持たない多くの新電力とっては、容量拠出金の負担が重くのしかかり、事業継続に関する懸念が払拭できない結果となった。

DATA

湘南電力株式会社


文:山下幸恵(office SOTO)

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