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簡易アセスの導入を合理的に進める3つの方法とは?

簡易アセスを導入すれば、
環境配慮がより進む

日本は一部の大規模事業だけを対象に、精密検査しかせず、簡易アセスによる集団検診をしないから不合理なのです。
太陽光発電も住宅用からメガソーラーまで大小ありますが、いずれも事業者がしっかり簡易アセスを行えば、未然に防げる問題もたくさんあります。

ちなみに、日本のアセスがこのような形となった原因は、1970年代にまでさかのぼります。アメリカでは1970年に世界で初めてアセスが始まりました。日本でも当時公害問題があり、1972年の国連人間環境会議でアセス導入を表明しました。

ところが、翌1973年のオイルショックで、日本政府はエネルギー確保のため、当初はサンシャイン計画と原発推進の2つの選択肢を考えました。結局、原発推進を選択したため、アセスは原発立地の障害になると考え、当時の通産省がアセスの導入を渋りました。
この影響が今日まで続いているのです。

アセスは、現地調査など人間の手によるデータ収集が必要なソフトな産業で、人件費が大きな割合を占めます。企業が自主的にアセス導入を進めれば、新たな雇用も生まれます。また、企業にとっては「環境配慮をきちんとしている」という住民の信頼も得られます。
小規模ならば簡易アセスは億単位の費用は不要です。数十万円から数百万円程度でできるのが大半です。広告宣伝費よりも安く、メディアからも注目されやすいという相乗効果があります。

簡易アセスを導入すれば、環境配慮がより進むでしょう。これは日本社会を「環境民主主義」に大きく変えるチャンスなのです。


原科幸彦氏
千葉商科大学政策情報学部長・教授、東京工業大学名誉教授。東京工業大学理工学部建築学科卒、同大学院博士課程修了後、国立公害研究所主任研究員などを経て東京工業大学助教授、教授。2012年に定年退職し、現職。
取材・文/大根田康介


取材・文/大根田康介

『SOLAR JOURNAL』vol.15 より転載

 

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