震災を乗り越えて 再エネが導く福島の新しい姿
2017/07/12
7月より、6年前の東日本大震災で被災した福島県内で太陽電池モジュール工場の操業を開始したアンフィニ。今後、国内外に「メイド・イン・福島」の太陽電池モジュールを提供する構えだ。
「SOLAR NINJA」生産に対応
年産300MWへの拡張も可能
「6年前、(東日本大震災の)映像をいろいろと観ていると胸が苦しくなり、何かできないかと思うようになった」。7月6日午後、福島県双葉郡楢葉町の太陽電池モジュール新工場の竣工式で、アンフィニの親川智行社長は新工場設置の発端を語った。
2011年3月11日の東日本大震災と、それに伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故。福島県では、津波などの地震被害とともに、放射能汚染により同原発の周辺自治体を中心に住民が避難を強いられる事態に。工場のある楢葉町も、面積の約8割が避難指定区域に指定された。2015年9月5日に指定が解除されたが、2011年3月11日時点の人口8011人に対し、今年5月1日現在で町に戻ったのは1616人にとどまる。
「もし、工場を作ることで地元の方々が戻れるきっかけになれば、と思い、この工場の建設にいたった」と親川社長。工場の操業にあたっては、福島県の従業員を約70人雇用した。
同社の進出を、福島県は歓迎している。竣工式に出席した同県の畠利行副知事は、来賓あいさつで「再生可能エネルギー活用の先駆けを目指す本県にとって力強い追い風になる。雇用の確保や経済活性化にもつながる」と期待を述べた。
アンフィニの太陽電池モジュール生産拠点は、年産能力80MWの栃木工場(栃木県大田原市)に次いで2拠点目。新工場には、独自のセル構造を採用し、発電能力を従来より10〜15%向上した次世代の結晶系モジュール「SOLAR NINJA(ソーラーニンジャ)」の生産に対応した最新鋭の設備を導入した。当面、新工場は年産100MWを目指すが、将来的には生産能力を年間200〜300MWへの拡大も可能だという。
親川社長は、「品質はもちろん、サービスも含めてさまざまな面で、世界のどこにも負けない工場にしたい」と力を込めた。
アンフィニ株式会社 代表取締役社長 親川智行氏
取材・撮影・文/具志堅浩二