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優遇FIT価格の小型風車が低風速でも高収益なワケ

イタリアのTOZZIGREEN社の小型風力発電が日本に上陸。FITでは優遇されている小型風力だが、設置にあたって十分な風況を持った場所は多くない。その点、同社の小型風力は低風速で十分な収益性を持っているという。

平均風速5m/sで高い稼働率

現在、日本では小型風力発電機が注目を集めている。20kW未満であれば、1kWhあたり55円で20年間の売電ができる。しかし、現実にはこの価格でも、収益が期待できるような小型風車の適地は少ない。十分な発電量となるには、一般的に、平均風速6~7m/s以上が必要だろう。

その点、TOZZIGREEN社の10kW級風車であるTN535は、平均風速5m/sで年間3万7410kWhを発電する。低風速での発電量としては、世界一ということだ。これにより、日本国内で小型風力の市場が大きく広がることになりそうだ。

あらためて、TN535の仕様を見てみる。定格電力は10.2kW。風速7.5m/sで定格出力に達し、16m/sでカットアウトする。台風などから保護するため倒せるタワー(ティツティングタワー)を採用している。ギアではなくベルト駆動を採用することなどで、低騒音を実現。消耗品が少なくメンテナンスが容易ということも大きな特長だという。

イタリアではすでに、約500機が設置されている。日本では1号機が2017年11月中旬に設置される予定だ。日本の固定価格買取制度に合わせた場合、2機を設置し、リミッターで19.8kWとした場合が、もっとも収益性が高くなると試算されている。

持続可能を考えるTOZZIGREEN

TOZZIGREEN社はイタリアで50年以上にわたって電子機器を製造しているメーカーだ。その技術を生かし、小型風力の分野では、10kW級の他に、20kW級、60kW級を製造している。このうち20kW級については、来年にも日本での船舶安全法における認証を取得する予定だという。

この他にも、再生可能エネルギーのEPC、O&Mも行っており、バイオマスや水力、太陽光発電、さらには農業への投資も行っており、持続可能な社会に向けて事業を拡大している企業なのだ。

日本では、太陽光発電で実績がある明成商会が輸入・販売を行う。グループ会社とともに、販売だけではなく、風況調査から申請、施工、遠隔監視、保証、メンテナンスを担当し、ファイナンスについても準備を進めている。

特に風況調査をしっかりやることが、事業化のポイントだ。実際に風況調査すると、NEDOの風況マップと比較して1~3m/sも低いということが一般的だからだ。この調査はファイナンスに大きく影響する。また、遠隔監視もTOZZIGREEN社のサーバー上で管理され、イタリアと日本の両サイドでの監視となっている。

低風速でも収益性が高い小型風力発電の登場で、ようやくこの分野の市場が見えてきた。

株式会社明成商会が行った商品説明会の様子(2017年10月13日)


取材・文/本橋恵一

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