編集部からのお知らせ

再エネの普及で地域創生?民間事業者への影響とは?

再エネの動向は、大きく2つのテーマによって左右される。1つは電力会社による接続保留、もう1つは温室効果ガス排出量削減だ。再エネの普及で地方創生の成功させたい。

10月14日、自然エネルギー協議会は再生可能エネルギーの普及拡大をテーマに、セミナーを開催した。登壇者は、大和ハウス工業の小山勝弘・技術本部環境部次長、自然エネルギー財団の大野輝之・常務理事、九州大学の佐々木一成・水素エネルギー国際研究センター長、環境省の鈴木正規・事務次官の4名。

今後、再エネの動向は、大きく2つのテーマによって左右されるだろう。1つは電力会社による接続保留、もう1つは温室効果ガス排出量削減だ。

前者は国内問題で、九州電力を皮切りに計5つの電力会社が、接続される太陽光発電などの合計量が最小需要量を上回り、需給バランスが崩れるという理由で再エネ接続申込みへの「回答保留」という措置を表明。民間事業者に大きな影響を与えることが懸念されている。

後者は国外問題で、来年フランス・パリで開かれる「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第21回締約国会議」(COP21)で、各国の削減目標値の提出が求められているが、原発再稼働を模索する日本は、いまだエネルギーミックスの具体的数値を示しておらず、どのような目標値を出すのか不透明な状況だ。

こうした背景を踏まえ、国はどのような施策を打ち出すのか。鈴木正規・環境省事務次官は「アメリカや中国が温暖化対策に積極的になっている中、日本では各国の特に姉妹都市のような各都市レベルで協力関係を深めて、CO2排出削減に最大限努めなければならない」とした上で、「経済を犠牲にするのではなく、経済とWin-Winの関係を築かなければ持続は難しい」と語る。

「再エネは各都道府県、市町村にあるため、地域活性化との結びつきを強めなければ普及はしにくい。環境省は、水俣病の関係から熊本県水俣市で昔から経済分析している。人口は3万人程度で域内総生産が1000億円くらいの規模だが、100億円弱の資金がエネルギーコストとして市街に流れている事が分かった」(鈴木事務次官)

つまり、市民の富がそれだけ地域外で消費されているという事だ。
「それぞれの地域内で、再エネで何割か電力をカバーできれば、総生産もいくらか確保できるのではないか。里地、里山、里海があり、バイオマスや洋上風力発電など研究の発展途上にあるものも含め、導入支援していきたい」(鈴木事務次官)

そのために、いくつかの実証実験も始めているという。例えば、小水力発電。自然の川ではなく、上水道設備に発電機を組み込む形で検証しており、今後は地方で適地を探していく方針を掲げた。
「地方創生の中で、再エネで地域活性化に成功した事例を紹介していきたい」(鈴木事務次官)と、国レベルで後押しをしていく意向を語った。


取材・文/大根田康介

関連記事

2015/08/10 | 編集部からのお知らせ

経産省「22~24%という数値にはこだわらない」

2021/06/24 | 編集部からのお知らせ

改正温対法が求める「地域主導の脱炭素」

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【第7次エネルギー基本計画の原案公表】40年度に太陽光は22~29%程度、風力は4~8%程度...
  2. 【経済産業省】FIT案件への制御が増加し、FIP案件への制御が大幅に減少の見通し...
  3. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  4. 太陽光による“地域再生”成功の秘訣とは?JPEAソーラーウィーク大賞、受賞者が語る【後編】...
  5. 【実証実験】横浜市が次世代型太陽電池の実証実験を開始‼
  6. 地域の合意形成を伴走支援 再エネ導入の新たなモデルに ~ 宮城県 再生可能エネルギー地域共生促進税条例を施行 ~...
  7. 太陽光による“地域再生”成功の秘訣とは? JPEAソーラーウィーク大賞、受賞者が語る【前編】...
  8. 第7次エネルギー基本計画、年内に骨子案を固める 脱炭素電源の構成比率が焦点に...
  9. 太陽光発電のプロ集団・エコ革 「ANDPAD」で顧客満足度をアップ!
  10. 【参加受付中!】2025年1月29日(水)「第32回PVビジネスセミナー」
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ