編集部からのお知らせ

自家消費市場拡大。コスト低減に遅れを取れば命取り

転換期を迎えた
太陽光発電

太陽光発電をめぐる環境は転換期を迎えています。FIT開始後、太陽光発電が数年のうちに急拡大したことに、最近は消費者の間にも不満が募り、「太陽光導入の総論賛成、各論反対」という人が増えていることも課題です。地域共生の問題も各地で生じています。山を切り拓き太陽光パネルを設置したところで豪雨による土砂崩れ事故が発生したり、用地分割による発電所設置(現在は禁止)により電柱が数メートルおきに立てられたことに景観が破壊されたと地域住民が反対運動を起こす事例も起きています。

こうした問題を解決する方策の一つとして、自家消費市場を拡大することがあります。太陽光と蓄電地、HEMSなどを導入したビジネスモデルへのインセンティブを強化する必要があります。

政府はエネルギーミックスを進める中、2030年には全電源のうち、再エネ比率を22〜24%、そのうち太陽光を7%程度にする目標を掲げていますが、2030年度より早く目標を達成する期待があります。7%の達成を目途に、太陽光はドイツのように、FITから市場に直接販売し、その価格に一定のプレミアムを付けるFIP(市場プレミアム制度)に移行を進めていくことも検討すべきと思っています。

 

今後、太陽光発電の大量導入によって増大する賦課金を抑えつつ、自家消費市場を拡大する必要がある。そのためには、低い買取価格でも安定的に利益を生み出せるよう、システムコストの低減が求められているといえるだろう。

プロフィール

東京大学 教養学部 客員准教授

松本 真由美氏

報道番組の取材活動やニュースキャスターを経て、現在は東京大学教養学部での教育活動を行う一方、講演や執筆など幅広く活動中。NPO法人・国際環境経済研究所(IEEI)理事。


取材・文/大根田康介

SOLAR JOURNAL vol.23(2017年秋号)より転載

< 12

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 10kW未満の住宅用・事業用太陽光発電の屋根設置 10月から買い取り価格を大幅に引き上げ...
  2. 【参加受付中!】2025年4月22日(火)「第33回PVビジネスセミナー」
  3. 青森県再エネ共生税・共生条例が県議会で可決、ゾーニングと課税を組み合わせた都道府県条例は全国初 ...
  4. 中国産の黒鉛電極に「反ダンピング課税」暫定適用、調査期間を3ヶ月延長...
  5. 【2025年度の新制度①】早期連系追加対策・初期投資支援・省エネ基準適合義務化を徹底解説...
  6. HUAWEI 新型蓄電システム、3機種を一挙公開 産業用・住宅用ともに「安全性」を徹底追求...
  7. 【インタビュー】AIKO SOLAR 躍進の秘密に迫る! 日本人CTOが挑んだこととは?...
  8. 第7次エネルギー基本計画を閣議決定 太陽光の比率を 23~29%程度に変更...
  9. AI技術を融合した「モジュール式蓄電システム」 高い安全性とコスト効率が強み...
  10. N型軽量モジュールで存在感を放つDAS Solar! 最軽量は驚きの4.2Kg/㎡
広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.52 | ¥0
2025/1/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ