太陽光発電、全需要の7割超も。日本の基幹電源へ
2017/11/22
再エネを最優先するという
当たり前の原則へ転換せよ
3つ目は、再エネ普及の現実です。九州電力管内では今年の5月、太陽光発電による供給が全需要の7割を超えたことがありました。既に再エネは基幹電源としての実力を備え始めているといっても過言ではないでしょう。
再エネは変動するから不安定だという声もありますが、例えば太陽光の発電ピーク時には、揚水発電に回す、あるいは地域間連系線を活用するなど、吸収する方法は既にあるのです。
まず大前提として、太陽光や風力はタダで手に入るクリーンな純国産エネルギーなのですから、他のものよりも最大限優先して導入するという当り前の原則へと転換することが必要です。そのうえで、最大限導入するためにどうすれば良いのかを議論すべきでしょう。
蓄電池のコストダウンで
太陽光が電源の主役に
また、先日、アリゾナにある電力会社が、4.5円/kWhという販売価格を提示しました。オーストラリアのある電力会社は、テスラの蓄電池+太陽光で売電する方が系統電力よりもトクになるというプランを提案しています。こうなると、顧客がどんどん系統から離脱して、送電系統そのものが巨大な不良債権と化してシナリオまで見えてきます。いよいよ「太陽光発電+蓄電池」によるオフグリッド社会が実現の兆しをみせているのです。
「5大自然エネルギー」という言葉もありますが、それは太陽光が非常に高かった時代の話です。太陽光も蓄電池もここまで安くなると、もはや太陽光に特化しても良いのではないかとさえ思います。太陽光は様々な場所に設置できる非常に使い勝手のよい電源ですから、社会の隅々まで太陽光発電と蓄電池の組み合わせを広げれば、もっともっと再エネを普及させることができるでしょう。
プロフィール
認定NPO法人 環境エネルギー
政策研究所(ISEP) 所長
飯田哲也氏
自然エネルギー政策の革新と実践で国際的な第一人者。持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した非営利の環境エネルギー政策研究所所長。Twitterアカウント→@iidatetsunari
取材・文/廣町公則
『SOLAR JOURNAL』vol.23より転載