VPP(仮想発電所) Cityだ…と…?欧州NO.1企業の戦略
2017/11/24
最先端プロジェクトがアメリカで誕生
sonnen社は、現地法人を立ち上げたアメリカアリゾナ州で、革新的な取り組みを始めた。現地の住宅メーカーと組み、3000戸の新築住宅で作る新しい町に丸ごと屋根上の太陽光パネルと蓄電池のセットを導入して電力の融通を行う。sonnenCommunityの拡張版としてのsonnenCityと呼ぶ。
ジャスパーというニュータウンでの壮大な実験は、合計の容量23MWh、出力11.6MWの蓄電池を使うことになる。すべての家はネットワーク化され、原則として再エネだけで電力を賄う仕組みを作り上げた。
天候が悪い日が続けば、系統から電力を調達することもできる。
市場取引への参入モデルはいつ実現するか
老舗といわれるNEXT KRAFT WERKEやシュタットヴェルケを支援するビジネスを手掛ける企業は、風力発電などの大型発電施設などを繋いだVPPビジネスを既に行っている。電力需給調整や
いわゆるしわ取りサービスまでビジネス化されている。VPP関連の各社が目標にするのは、ネットワーク化した蓄電池を使った電力市場取引ビジネスであろう。市場で安く仕入れた電力を充電し、価格が高い時期に利用するモデルである。蓄電池の価格との兼ね合いを見ながら、ネクストターゲットとなっている。
このように、発電、市場、蓄電池のバリエーションで、VPPを始めとした柔軟性に対応するための様々なビジネスモデルがドイツなどで進んでいる。再エネの変動性は困ったことだからと後ろ向きの発想しかないと、日本はあっという間に世界の潮流から乗り遅れてしまうことになる。
プロフィール
北村和也
エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式HP
『SOLAR JOURNAL』vol.23より転載