編集部からのお知らせ

来年度FIT激変、バイオマス発電に「入札」を導入!

運転開始期限は4年
設備発注は2年以内に

一般木材等バイオマス発電は、既に1000万kW超のFIT認定量があるものの、稼働している案件は50万kW程度にすぎない。太陽光発電と同様に、「未稼働案件」対策も大きな課題となっている。そこで導入されることになったのが、「運転開始期限」だ。これも太陽光発電において2017年度から実施されているものだが、FIT認定から一定期間を過ぎても運転を開始しない案件に対しては認定取消を含む厳しい措置が講じられることとなる。

具体的な運転開始期限は、FIT認定日から「4年」。バイオマス発電設備の認定取得後の工事や手続き等に要する期間を勘案して、太陽光発電より1年多く定められた。2018年度からの新規認定案件が対象となる見通しだ。

なお、既認定案件はこの対象とはならないが、代わりに「設備発注期限」というものが設けられる。具体的には、FIT認定日から「2年」以内に設備の発注が行われていなければならなくなる。新たな未稼働案件の発生を防止するとともに、既にある未稼働案件の解消にも大きな効果が期待される新ルールだ。

パーム油等バイオマス油脂を
新たなFIT価格区分に

一般木材等バイオマス発電においては、海外から輸入される燃料が大半を占めている。使われる外国産燃料の中でも、とりわけ注目されるのがパーム油等のバイオマス油脂だ。一般木材等バイオマス発電のFIT認定案件のうち、燃料にパーム油を含むものは出力ベースで36%、件数ベースでは52%にも達している(2017年9月末時点)。このパーム油等のバイオマス油脂を対象に、新たなカテゴリーが増設されることとなった。

一般木材等バイオマスにおける燃料の内訳

パーム油とはアブラヤシから採れる油であり、FIT制度上は一般木材等バイオマスに区分される。しかし、チップやペレット、PKS(パーム椰子殻)など、他の一般木材等バイオマスは固形燃料であり、液体燃料であるパーム油とは燃料としての性質がまったく異なる。もともとFITの一般木材等バイオマスは、主に固形燃料を想定したものであり、液体燃料は例外的存在のはずだった。固形燃料を利用した蒸気タービン発電と、パーム油など液体燃料を使ったディーゼルエンジン発電とでは、コスト構造にも大きな違いが認められるのだ。

液体燃料の発電設備の方が、固形燃料のものよりも建設費用も安い。にもかかわらずパーム油案件は、一般木材等バイオマス発電の一種として、固形燃料案件と同額のFIT価格を与えられている。このパーム油等のバイオマス油脂を新たなカテゴリー(価格区分)として独立させることで、実情に則した、より適正なFIT価格にしていこうというわけだ。上述の通り、既に膨大な認定量があるだけに、この価格が抑えられる効果は大きい。


取材・撮影・文/廣町公則

< 12

関連記事

2018/04/18 | 編集部からのお知らせ

FIT大幅見直しで、バイオマス発電はどうなる?

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【第7次エネルギー基本計画の原案公表】40年度に太陽光は22~29%程度、風力は4~8%程度...
  2. 【経済産業省】FIT案件への制御が増加し、FIP案件への制御が大幅に減少の見通し...
  3. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  4. 太陽光による“地域再生”成功の秘訣とは?JPEAソーラーウィーク大賞、受賞者が語る【後編】...
  5. 【実証実験】横浜市が次世代型太陽電池の実証実験を開始‼
  6. 地域の合意形成を伴走支援 再エネ導入の新たなモデルに ~ 宮城県 再生可能エネルギー地域共生促進税条例を施行 ~...
  7. 太陽光による“地域再生”成功の秘訣とは? JPEAソーラーウィーク大賞、受賞者が語る【前編】...
  8. 第7次エネルギー基本計画、年内に骨子案を固める 脱炭素電源の構成比率が焦点に...
  9. 太陽光発電のプロ集団・エコ革 「ANDPAD」で顧客満足度をアップ!
  10. 【参加受付中!】2025年1月29日(水)「第32回PVビジネスセミナー」
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ