太陽光FIT制度、既存案件の買取金額を減額へ! 「未稼働案件」対象に
2018/10/19
制度初期認定でも多数存在
未稼働案件の抱える問題点
日本国内には、FIT制度の創設初期に認定された案件を含めて、未稼働案件が数多く存在している。事業用太陽光(10kW以上)をはじめとするFIT認定案件の稼働状況は、以下の図の通りだ。
年度別FIT認定案件の稼働状況(出典:経済産業省)
このように、FIT制度の初期に認定されたものでも、未稼働案件は少なくない。
現行の制度では、売電価格には「FIT認定された年度の調達価格」が適用される。2012年度の事業用太陽光の調達価格は、40円/kWh。つまり、2012年度に認定された未稼働案件の3,345件は、「いつ発電を開始しても40円/kWhで売電できる権利」を今でも保有しているわけだ。同様に2013年度は36円/kWh、2014年度は32円/kWh。今年度の18円/kWhと比較すると、非常に高い単価となる。
これらの未稼働案件が稼働しはじめると、国民負担はさらに大きく膨れ上がってしまう。まるで、いつ爆発するかわからない“時限爆弾”のようなものだといえるだろう。
未稼働案件には、まだほかにも問題がある。
まず、系統容量を圧迫している点。電力会社の系統容量は、FIT認定された時点で確保されている。そのため、未稼働案件は実際には稼働していないにもかかわらず、系統を圧迫していることになる。電力会社の系統の空きは減ってきており、発電事業者は、日照条件などが発電に適しているかどうかよりも、まず電力会社の系統が空いているかを確認する必要が生じている。稼働する見込みのない未稼働案件が一掃されれば、そのぶんの系統が空き、こうした問題の多くが解消される。
また、新規開発が後回しになってしまう点も見逃せない。事業者の立場としては、入札制度が導入されるなど価格競争が厳しくなっている新規案件よりも、まずは残っている未稼働案件の発掘や開発が優先されるのは当然のことだろう。未稼働案件にメドがつくまでは、新規開発はどうしても後手に回ってしまう。