九州電力の”出力制御”はなぜ実施された? 発電量を調節する理由と背景

今年10月から数回にわたって実施された、九州電力の"出力制御"。そもそも、発電量を抑えることは何を意味しているのだろうか? 出力制御が行われる理由と背景を、エネルギージャーナリストの北村和也氏が解く。

続く、九州での出力制御と
かみ合わない議論

九州電力がこのところ頻繁に管内の太陽光発電の出力制御を行っている。この原稿を書いている11月3日には太陽光に加えて風力発電も制御された。これで5回目の出力制御となる。これまでよりやや少ない300MW台規模の出力制御であるが、発電事業者への一定のダメージは避けられない。

これは、北海道の地震による大規模ブラックアウトに続くエネルギーに関する負の話題と言える。しかし、北海道の例を引いてBCP対策として屋根上の太陽光を増やすべきという声が拡大しているのに対し、一方でそれを否定するかのような九州の出来事に戸惑いさえ生まれている。太陽光発電設置を行っている施工業者の話では、お客さんから設置に対する疑念の声を聞くことが増えたという。

最近、この手の再エネをめぐるニュースが起きると、再エネを積極的に進める側と急速な拡大に疑念を持つ側との間で、SNSなどを舞台にして激しい議論が行われるのが常である。いつも思うのだが、物事にはいくつもの側面がある。AかBかどちらかが100%正しいとか間違っているということには必ずしもならないことが多い。

北海道全体規模での最初のブラックアウトや最初の出力制御という初めて尽くしのことなので、どうしても『良い悪い』を決め付けたくなる気持ちもわかるが、少し冷静に現出した事象とその背景を分析したうえで対応することが必要である。

出力制御の「理由」は
正しいのか

九州電力の言い分は、「電力の需給バランスが崩れることによる大規模停電を回避するため」ということで、それはそれで正しい理屈である。具体的に言うと、太陽光が大量に発電する予想に対し、電力の需要がかなり低い見通しのアンバランスである。春や秋は天候が安定し太陽光施設は目いっぱい発電し、一方で気候が良くてエアコンは必要ないうえ、土日は休みの企業が多いために電気もあまり使わないということである。ドイツで再生エネ電力が全体の9割以上を占める記録を出すのも、だいたい春や秋の休日と相場が決まっている。

最近は九州電力をはじめとする一般電気事業者の管内では、再エネ発電施設の申請時に設置の条件として出力制御が入っている。よって、制度としては単純にけしからんということにはならない。この4週末のうち3週末で行った制御は、何もしないで置けばやはり停電の危険はあったのだろうと思われる。

これは再エネ電力が4割に迫るドイツで起きていることが遅れて日本で起きたことを意味している。筆者の感想だが、まだ一部の地域とはいえ、日本でもずいぶんと再エネの影響力が拡大したと感慨深いところさえある。

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

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