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2019年太陽光発電市場はどうなる? 中国の導入抑制政策による影響は?

2018年は、太陽電池モジュール価格の低下や米中開間の貿易摩擦や、中国における太陽光発電の新設備導入抑制策など太陽光発電市場に様々な影響が及ぼされた。2019年の太陽光発電市場は、どのような動きが見られるのだろうか。資源総合システムの貝塚泉氏が、世界の再エネ情勢を読み解くコラム第3回。

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中国市場は縮小も、
世界市場の累積導入量は増加

2018年の世界における新設の太陽光発電システム導入量は、約100GW(稼働済みのDC容量)となり、2017年(99GW)と同様の規模を維持できそうである。



中国における導入抑制政策により市場縮小も懸念されたものの、中国での導入量が当初の予測を上回る44GWとなり、中国国外での導入が伸びた結果、速報値では約100GWの導入量が見込まれている。表1に2018年の世界における動向のハイライトを示す。

表1 2018年の世界の太陽光発電市場における動向のハイライト

太陽電池モジュール価格低減により
競争力が多くの地域で高まる

表2に導入量上位10ヶ国を示す。1位の中国における導入量は2018年5月31日の抑制政策発表直後は30~35GWまで落ち込むとの見方もあったが、1~11月で38.22GWを導入しており、年間では約41GWの導入が期待されている。中国、インド、日本及びトルコは前年よりも導入量が縮小したが、その他の国では導入量が伸びている。

2019年については、入札により選定されたプロジェクトがエジプトで稼動を開始し、フィードイン・タリフ(FIT)制度における運転開始期限が設定されているベトナムでの稼働開始など、計画されている導入が進む見込みである。米国及びインドでのセーフガード措置や米中間の貿易摩擦による影響は、2019年も継続するが、太陽電池モジュール価格が低下したことで、導入への影響は限定的である。

一方で、欧州においては中国製太陽電池製品への反ダンピング関税が撤廃され、中国産業界との最低輸入価格(MIP)の協定も2018年9月に終了したことで、欧州市場にとっては追い風となる見込みである。2018年に生じた大幅な価格低下により太陽光発電の競争力がこれまで以上に多くの地域で高まった。この結果、新たな市場での成長が期待されることで図1に示すように高位シナリオでは125GWの導入の可能性もでてきた。

表2 年間導入量(DC)上位10ヶ国(速報値:2019年1月24日現在)

出典:株式会社資源総合システム調べ

図1 世界における年間導入量の推移

出典:株式会社資源総合システム調べ

 

中国の導入抑制政策
各国にどのような影響が?

中国政府による導入抑制政策は、特に上流側の産業界に大きな影響を与えた。生産能力と需要のギャップが拡大し、ポリシリコンから太陽電池モジュール、太陽光発電システムまでの価値連鎖全体で価格低下が加速した。多結晶シリコン太陽電池モジュールのスポット価格は2018年1月時点では、31米セント/Wであったが、下期には25米セント/Wになり、2018年12月26日時点で21.9米セント/Wと報告されている。ポリシリコンのスポット価格も2018年12月26日時点で9.53ドル/kgとなっている。

このような状況を背景に2018年には、特に上流側において合従連衡が進展した。例えば、台湾では、Neo Solar Power(NSP)、Gintech Energy及びSolartech Energyの合併によりUnited Renewable Energy(UREC)が設立された。米国においては、SunPowerがSolarWorld Americasの買収を発表した。

また、韓・Hanwha Q Cellsがインゴット・ウエハー製造からの撤退を発表するなど、設備投資や事業の見直しも始まっている。製品の差別化も重要課題となり、PERCセルに代表される高効率品への転換、ハーフカットセルの利用や両面受光型モジュールなど高出力モジュールへの転換が加速している。米・First Solarも結晶シリコン太陽電池の価格低下に対抗すべく大面積CdTe薄膜太陽電池シリーズ6の量産を開始した。

2018年は上流側にとっては急速な価格低減に直面した困難な年であったが、価格低減の進展により、太陽光発電は世界各地で最も安価な電源として認識されるようになった。加速する脱炭素に向けた取り組みを牽引力に、2019年以降も世界各地で導入が進む見通しである。


文/資源総合システム 調査事業部 部長 貝塚泉



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