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FIT制度の見直しを! 自立に向けた「ビジネスモデルの転換」が必要な理由とは?

FIT制度の抜本的見直しに向けた議論が、いよいよ本格化する。太陽光発電を真に日本の主力電源とするため、新たなる事業モデルを目指す事業者はどうすればよいのか。JPEA事務局長の増川武昭氏に話を聞いた。

FITの抜本的見直し!
2020年度末に向け議論本格化

FIT法は、当初より2020年度末までに再考を行うことが予定されており、2019年度はその内容を検討する年なのです。そのため、FIT制度の抜本的見直しに向けた議論が、いよいよ本格化してくるでしょう。FIT制度がすぐになくなる訳ではありませんが、フェードアウトへの道筋が示されます。ポストFITは、待ったなしです。



FITは太陽光発電の導入拡大にとって強力な推進力となってきました。しかし、これからはFITに頼らなくてもいいようにしなければなりません。

太陽光発電を真に日本の主力電源にするためには、2050年までに国内稼働量200GWを達成する必要があります。さらに、その先に300GW、400GWと増やしていかなければなりません。現時点での太陽光発電の導入量は約50GWですが、目標達成にはまだ程遠い状況なのです。

FITに代わる
ビジネスモデルの転換を目指す!

2050年までに200GWを実現するためには、まず現状の課題を、官民一体となって解決していかなければなりません。その課題は、「コスト競争力の向上」「系統制約の克服」「長期安定稼働」「地域との共生」「価値創出」の5つです。これらを踏まえ、事業者側としては、FITからの自立に向けた「ビジネスモデルの転換」を図っていかなければならないのです。

では、新しいビジネスモデルとは、どのようなものなのでしょうか。答えはまだ明確ではありませんが、いくつかの方向性を考えることはできます。具体的には、「需給一体型・自家消費モデル」は当然として、「ZEB、ZEH」「セクターカップリング(分野連携)」「コーポレートPPAモデル・第三者保有モデル」「非化石価値・環境価値の活用」などがキーワードになってくるでしょう。それらは、いずれもFITに代わる推進力となる可能性を秘めています。



例えば、セクターカップリングは、電力供給のCO2フリー化と熱利用の電化、運輸部門の電動化を一体的に進めることで、再エネ由来電気の需要を増大させます。分野連結によるシナジー効果は、「脱炭素化」と「エネルギー利用効率・エネルギー自給率の大幅向上」を同時達成することにもつながります。そして、需要側のあらゆる場所に設置できる太陽光発電は、セクターカップリング推進の要となり得るのです。太陽光発電の可能性は、業界の垣根を越えて広がっているといえるでしょう。

さいごに

「私たちJPEAとしては、太陽光発電の健全化に向けて努力し、国民の皆さんに愛される産業となるよう、これからも尽力してまいります。また、国民負担に頼らなくてもやっていけるよう、自立化に向けた取り組みを幅広く進めてまいります。

FIT制度の抜本的な見直しの次には、『エネルギー基本計画』のさらなる見直しも控えています。こうした国の政策に反映していただけるよう、しっかりと事実を積み上げ、太陽光発電の意義を示していきたいと考えています。太陽光発電の新たなフェーズに向けて、共に頑張っていきましょう」

PROFILE

一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)事務局長

増川武昭氏

1985年昭和シェル石油株式会社に入社。原油の調達や電力ビジネスなどを担当。2013年にソーラーフロンティア株式会社に出向し、太陽光発電産業のビジョン策定等に携わる。2017年6月から現職。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.29(2019年春号)より転載

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