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美浜町と東京海洋大が「ソーラー船」を共同研究! 新たな観光資源に

8月21日、福井県の美浜町が、太陽光発電の電力で動く「電気推進船」(ソーラー船)の開発について、東京海洋大学と共同研究を進める契約を締結したと発表した。2019年度内に実証船の開発を目指し、三方五湖の観光遊覧船事業に活用したい考えだ。

東京海洋大のソーラー船
実装に向け研究進む

東京海洋大学は2010年春、世界初の急速充電対応型電池推進船「らいちょうⅠ」を建造。リチウムイオン電池・推進モーターを動力とし、 低騒音・低振動、航行中の排気ガスや二酸化炭素を出さない、高出力でありながら短い充電時間などが特徴だ。

2011年6月には、ウォータージェット式の急速充電対応型の小型電池推進漁船「らいちょうS」を建造。ウォータージェット式となったことで、水面付近にロープがある養殖場などでも使用でき、プロペラが海洋生物などを傷つける恐れもなく安全性が向上した。

さらに2014年3月には、大型化および航続距離増加を目指し、ハイブリッド型「らいちょうN」が開発建造されている。



共同研究では、「らいちょうN」を海洋大周辺で走行させ、運行距離や速度パターンなどをシミュレートする。それによって得られた使用電力・モーター出力・充電時間などの情報を解析し、新船での状態を検証・推定する。また、航行が予定される三方五湖周辺について現地調査を行い、水深などのデータも新船の設計に反映させる。

ソーラー遊覧船が目玉に
三方五湖の新たな観光事業

三方五湖の遊覧船事業は、観光客の減少などにより2016年12月に廃業。しかし、廃業時も年間3万人近い乗船客がいたことから、美浜町では、再生可能エネルギー等を活用した新たな集客施設として再開の検討を進めている。

2018年6月に策定された「美浜町エネルギービジョン事業化計画」においては、再生可能エネルギーを活用した新たな観光拠点として、ソーラー船を中心としたプロジェクトが計画に盛り込まれている。この計画によると、ソーラー船と充電設備等に約2億1600万円かかるものの、年間5万人の集客で6000万円の売上高、営業損益は年間約450万円の黒字となる算定だ。さらに、約9.3t/年のCO2削減効果が見込めるとしている。



今後は、太陽光発電設備(出力40kW×2基)と定置型蓄電池を備えた発着場「新美浜町レークセンター(仮称)」の建築や運航会社の選定を進め、2023年春の北陸新幹線敦賀開業に合わせて商業運転の開始を目指す。

DATA

東京海洋大学
美浜町


文/山下幸恵

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