小田原市などEVカーシェア実証「地域交通版『RE100』」目指す
2019/11/11
9月18日、環境省が公募する「脱炭素型地域交通モデル構築支援事業」の採択結果が発表された。株式会社REXEVと湘南電力株式会社が小田原市と連携し、電気自動車を用いた実証を行う。「地域交通版『RE100』」を目指す実証内容とは?
小田原でEVカーシェア実証
再エネ活用EV100台導入
「脱炭素型地域交通モデル構築支援事業」に選ばれたのは、株式会社REXEVと湘南電力株式会社、神奈川県小田原市だ。3者で協力し、電気自動車(EV)のシェアリングによる地域交通モデルの構築に取り組む。
本実証事業の位置付けは、環境省が実施する「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」のうちのひとつ。「地域循環共生圏」とは、2018年4月に環境省が策定した「第5次環境基本計画」に盛り込まれた概念で、各地域がその特性に応じ地域資源を生かしながら、自立・分散型社会の形成などを目指すものだ。
具体的には、小田原などの神奈川県西エリアにおいて、地産の再生可能エネルギーを活用したEVを用いてカーシェアリングを実施する。導入台数は3年間で100台を見込み、EVステーションは小田原市役所本庁舎など市内50ケ所を予定している。2020年2月からユーザーを限定した試験運用を実施し、同年6月から本運用を開始する。
また、EVバッテリーの充放電遠隔制御技術と組み合わせ、再生可能エネルギーの効率的な活用や付加価値の創出にも取り組む。EVのバッテリーは、災害などの停電発生時には非常用電源としても活用される。EVを移動手段だけでなく、蓄電池としても利用し用途を拡大することで費用対効果を高め、EV普及を促進する狙いだ。
EVのマルチユース
脱炭素型交通イノベーション
実施体制は、株式会社REXEVが再エネ充電EVカーシェアのシステム構築や設備導入・運営などを担い、湘南電力株式会社は、EV充電向けの再エネ電力メニューの開発などを行う。小田原市では、事業の推進に向けた連絡会会議の設立・運営を行う予定だという。
株式会社REXEVは、株式会社エナリスで執行役員や常務取締役を歴任した渡部健氏が2019年1月に設立した会社だ。「全ての人が限界費用ゼロで移動できる持続可能な社会インフラの実現」をビジョンとして、EVなどの普及を促進するプラットフォーム提供などの事業を展開している。
湘南電力株式会社は、神奈川県小田原市に本社を置く小売電気事業者だ。再生可能エネルギーを最大限活用し、湘南地域の電力の地産地消、自立したコミュニティの形成に向けて小売電気事業を行っている。地産電源として、神奈川県内の太陽光発電所などから電源を調達している。
DATA
文/山下幸恵