IIJデータセンターにテスラ製蓄電池導入 マルチユースを想定
2019/11/28
インターネットイニシアティブは10月21日、自社の白井データセンターキャンパスにテスラ製リチウムイオン蓄電池「Powerpack」を導入したと発表した。11月1日から稼働し、ピークカットやピークシフト運用により、空調電力の約15%削減を目指す。
蓄電池によるピークカット
15年で5000万円の削減
株式会社インターネットイニシアティブ(東京都)は、自社の白井データセンターキャンパスにテスラ製リチウムイオン蓄電池「Powerpack」を導入し、11月1日から稼働している。
同社は通信インフラを提供する事業者として、環境性能に優れたデータセンターの構築を進めてきた。同データセンターでは、すでにエネルギー効率の高い外気冷却空調とAIによる空調制御などで、電力利用効率の最適化を図っている。外気冷却空調とは、外気温度が室温より低いかまたは冷房送風温度に近い場合に、冷凍機を運転せずに送風運転のみを行うことで、エネルギー消費量やCO2の発生を抑える空調システムだ。
しかし、このシステムは外気温が約13〜20℃のときに有効であり、夏場は利用ができない。このため、夏季のピークカット対策として蓄電池の導入を決定したという。
今回導入されたPowerpackは、三相400V、出力436kW、容量696kWh。これは、同データセンター内のサーバーを最大4時間稼働できる容量だという。このうち5~10分の稼働に必要な容量を非常用として常時保持し、残容量をピークカットに使用する。
電力使用の平準化による契約電力の引き下げによって、空調で利用する電力のデマンド値の約15%の削減を目指す。
蓄電池はマルチユース利用
余剰吸い込み、BCP対策も
同社はPowerpackを分散型エネルギーリソースとして、さまざまなエネルギーマネジメントへマルチユース、つまり用途を拡大する予定だ。太陽光発電などの再生可能エネルギーと組み合わせることで余剰電力の吸い込みや、出力変動の安定化の実現を目指すほか、BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)対策として、停電時の電力供給、情報提供拠点としての応用も予定している。
今回の導入は、関西電力の100%子会社である株式会社関電エネルギーソリューション(大阪府)の「ユーティリティサービス」として導入されたものだ。この「ユーティリティサービス」は、初期投資なしで蓄電池などのエネルギーマネジメント設備を導入可能で、設計から施工、設置後の保守まで関電エネルギーソリューションが一元管理する。契約期間は原則15年で、設備維持コストの平準化に寄与するサービス内容となっている。
DATA
文/山下幸恵