災害時のレジリエンスと経済性を両立! オフグリッドシステム導入事例
2020/02/06
災害時のレジリエンス強化につながる分散型エネルギーシステムとして、期待を受ける自家消費型太陽光発電。オフグリッド太陽光システム「ソーラーライフガード」を導入する次世代農業ハウスを取材した。
系統電力をバックアップに
注目のオフグリッドシステム
自家消費システムの進化形ともいえるオフグリッドシステム。大規模な自然災害による停電の発生が続く日本において、レジリエンス強化に資するものとして、導入の動きが着実に進んでいる。
ハウスに内に設置するのは、大容量60kWhの蓄電システムをはじめとしたオフグリッドシステムのパッケージ。充放電をコントロールし、ハウス内の電力を自然エネルギーで賄う。
今回取材したのは、福島第一原発事故を契機に設立され、「原子力に依存しない安全で持続可能な社会作りと会津地域のエネルギー自立」を掲げるご当地電力の雄・会津電力株式会社。ちょうどオフグリッドシステム一式が納品され、ハウス内で電気関連の接続を待っているところだった。
このハウスでは、1月の下旬から1年間を実証期間とし、地元の若手農家と協力しながら、観賞用植物やトマトなどの野菜を栽培する。冷暖房やLED照明といったハウス内の電力を、屋根の片側に設置されたパネルと、近接する地上設置型太陽光から賄い、夜間や雨天には蓄電池から給電。蓄電池でも足りない場合には、独自のバイパス機能によって系統からの電力供給に自動で切り替えられるのが、このシステムの特長だ。
ハウスへの給電は、ハウス屋根と地上に設置された太陽光パネルから行う。事務所へも、地上設置の太陽光パネルから給電し、自然エネルギーを最大限活用する。
中国から到着したばかりの15kWhバッテリー4個。
蓄電システムの筐体内に備え付けられたチャージャー。パネルからの発電と蓄電池の充放電をコントロールし、ハウス内の電力を調整する。
会津電力常務取締役の折笠哲也氏は、「ハウスで冬も営農できれば、農家の生産性が上がります。再エネの拡大と農家の支援を同時に実現できます。システムの運用が順調に進めば、地元の農家さんにハウスの導入を提案していく計画です」と期待を込めて語る。
会津電力の常務取締役を務める折笠哲也氏。
このオフグリッドシステム「ソーラーライフガード」を開発したのは、農業ハウス「がっちりHOUSE5」も提供するEPC、日本パワープラント株式会社。蓄電池ほか、システム一式を提供する。
同社代表取締役の村田聖氏が「東北電力より、このシステムの導入に系統連系協議は不要との回答を受けました」と語る通り、導入のハードルは低い。「農業ハウスだけでなく、畜舎や鶏舎、陸上養殖などの電源にもなりえます。停電で貴重な生産物を失ってしまうことを防ぎ、日本の食を支える電源として、またBCP対策としても、ご活用いただけるものと自負しています」と村田氏はつけ加える。
地域を支える電源として、文字通り“命を守る”ライフラインとして、今後の普及に期待が高まる。
問い合わせ
日本パワープラント株式会社
〒334-0057 埼玉県川口市安行原796-1
TEL:048-299-8182 FAX:048-299-8713
撮影/松尾夏樹(大川直人写真事務所)
SOLAR JOURNAL vol.32(2020年冬号)より転載
Sponsored by 日本パワープラント株式会社