未稼働案件のFIT認定失効制度、運転開始期限を見直し。太陽光以外にも適用
2020/10/16
2022年4月に予定されている、FIT(固定価格買取)制度の抜本的な見直し。これには長期未稼働案件に対する認定失効制度も含まれる。経済産業省の有識者会議は8月31日、制度の全体像について大枠を示した。
運開期限の1年後の状況で判断
ファイナンス案件には例外措置も
長期未稼働案件とは、過去の高いFIT調達価格の権利を有した状態で長期間運転を開始しないでいる発電所のこと。未稼働であっても送配電網の容量が確保されているため、新規参入者の阻害となるほか、再生可能エネルギー発電促進賦課金による国民負担の増大が懸念されている。これまでにも、2017年4月のFIT法改正と2018年12月の追加措置によって対策が講じられてきた。
2022年4月にFIT制度が大幅に見直されることが決定したため、長期未稼働案件の認定失効制度についての具体的な議論がスタートした。8月31日の有識者会議では、運開期限を過ぎて未稼働の案件に対して、運開期限の1年後時点の状況で適用を判断することとした。
具体的な進捗状況を以下の3パターンに分け、それぞれに規律を適用する。
・系統連系着工申し込みを行っていない案件:運開期限の1年後の時点で認定を失効
・系統連系着工申し込みを行った案件:猶予期間として、運転開始期間に当たる年数を運開期限に加え、その到来をもって認定を失効
・大規模案件に係るファイナンスの特性を踏まえた例外的措置:開発工事への準備・着手が公的手続によって確認された一定規模以上の案件について、猶予期間として、調達期間に当たる年数を運開期限に加え、失効リスクを取り除く
なお、2022年4月の改正法施行日までに、開発工事に着手済みだと公的手続によって確認された2MW以上の太陽光発電所については、運転開始までの失効が回避できる。
出典:経済産業省 総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会
未対応の案件にも設定
すべての電源種別が対象に
これまで対応されていなかった2016年度の認定案件についても対応の方向性を決めた。2021年3月31日までに系統連系の着工申し込みが受領されたものは、従来の価格を維持する。運開期限は2022年3月31日とされた。一方、申し込みの受領が間に合わなかった案件は、運開準備段階に入った時点の2年前の調達価格を適用し、運開期限は1年間となる。
さらに、現在、期限の設定されていない太陽光発電以外の発電種別についても運開期限が設定される見込みだ。対象となるのは2012年度から2017年度に認定を受けた風力、水力、地熱、バイオマスなどすべての発電設備だ。今回の措置が決定された日を起算日として、運開期限を一律に設定する案が出された。
出典:経済産業省 総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会
DATA
経済産業省/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会(第19回) 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第7回)合同会議
文:山下幸恵(office SOTO)