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【2021年度FIT】調達価格や入札対象の検討スタート。FIP対象区分も

資源エネルギー庁によると、日本の再エネ導入量は世界第6位。この7年間で約3倍という世界トップクラスのスピードで増加している。2022年度に導入が予定されているFIP制度では、発電事業者の投資インセンティブを高める効果が期待されている。対象をどう定めるかなど、踏み込んだ検討が始まった。

FIP制度の対象区分など
詳細の検討がいよいよスタート

9月末の調達価格等算定委員会では、アフターコロナ時代の「再エネ型経済社会」に向けた具体的な論点を整理した。2021年度以降に控える制度改正のための議論の土台を整えた。(参考『エネルギー供給強靭化法が成立。再エネビジネスが向かう新たなステージとは?』)

2022年度からは、固定価格買取(FIT)制度に加え、市場連動型のFIP(Feed in Premium)制度の導入が決まっている。FIP制度の対象は、大規模事業用太陽光発電や風力発電などの競争力のある電源とされている。しかし、具体的に何kW以上といった細かい対象要件の議論はこれからだ。

FIP制度では、買取価格は市場価格に連動して変動する。市場価格に一定のプレミアム(補助額)を上乗せして、発電所への投資インセンティブを確保する。同時に、10年間や20年間などの長期間にわたって固定価格で買い取るFIT制度からの自立を目指す。FIP制度では、市場価格が上がるピーク時に買取価格も連動して上がることから、電力需要に合わせた発電量(供給)のコントロールもしやすくなると考えられている。

FIP制度で大きなメリットを得られるのは、再エネの中ではバイオマス発電だと想定される。発電量が気象条件に左右されず、調整力として活用できるからだ。こうした調整機能を発揮するには、それに適した制度設計が必要だとされた。

また、競争電源のひとつとされる風力発電は、太陽光発電に比べて建設にかかるリードタイムが長い。FIP制度の検討にあたっては、数年先まで事業の見通しが立てやすいような制度が好ましいとされた。

FIT制度・事業用太陽光の入札
募集容量の大幅な未達が問題視

一方、FIT制度における調達価格は、住宅用太陽光発電で21円/kWhまで下がったものの、自家消費を促進するにはまだ高い水準であるとされた。欧米に比べ再エネの導入コストが高い理由について、制度以外の原因も精査すべきという意見が挙がった。

事業用太陽光については、入札対象をどのように設定するかが注目されている。2018年度までは2,000kW以上、2019年度は500kW以上、2020年度は250kW以上と段階的に拡大されてきた。しかし、落札容量が募集容量を満たさないケースもある。2019年下期の第5回入札では、募集容量416MWに対し40MWの落札だった。

委員からは、募集容量を満たしていない現在の状況で、再エネのコスト低下が順調に進んでいるのかは疑問だといった声が挙がった。再エネの普及を下支えする重要な制度設計だけに、今後の議論の行方に注目したい。

DATA

調達価格等算定委員会


文:山下幸恵(office SOTO)

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