太陽光は自家消費時代に突入。導入メリットをチェック!
2021/02/18
太陽光発電は、いよいよ自家消費の時代に突入した。つくった電気は、売ってしまうより、自ら使った方がメリットが大きい。工場や商業施設など、電気をたくさん使う場所ほど、その魅力を実感できるはずだ。
だから自家消費!
太陽光発電設備を、なぜ設置するのか? 従来なら、FIT(再生可能エネルギーの固定価買取制度)を使って電力会社に電気を売り、「売電収入」を得ることが目的だった。しかし、もうこれからは違う。太陽光でつくった電気は「売るのではなく、自分たちで使う」、すなわち「自家消費」をした方が大きなメリットを得られるようになってきたのだ。
コストメリットが増大
1つ目のメリットは、電気代を削減できること。気になる導入コスト(太陽光発電設備の代金等)は、以前に比べて格段に安くなっているので、数年で元を取ることができる。
一方で、売電しようと考えても、FIT売電単価が大きく下落しているので、あまり旨味は感じられない。電気を使わない場所に設置するなら、安くても売電するしかないが、もし電気を使う場所に設置するなら、「売るより使う」が正解だ。高い電気を電力会社から買うよりも、太陽光でつくった電気を使った方がだんぜんお得になる。太陽光発電設備はいちど設置してしまえば、あとはメンテナンス代が多少かかる程度。格安の電気を、数十年にわたって使い続けることができるのだ。
停電対策、
環境経営の柱に
2つ目のメリットは、近年頻発している大停電への備えになるということ。2018年の北海道胆振東部地震によるブラックアウト、2019年の台風15号・19号による大規模停電など記憶に新しいところだろう。2020年7月豪雨においても、九州各地に長期にわたる停電が発生した。
電力会社からの電力供給が途絶えても、屋根の上の太陽光パネルは発電し続ける。はじめから自家消費型太陽光発電システムにしておけば、緊急時にも慌てることはない。さらに、あわせて蓄電池を導入すれば、夜間にも安心して電気をつかうことができる。BCP対策としても、おすすめだ。
3つ目のメリットは、CO2を排出しない電気を直接使えるということ。自社で消費する電気の再エネ比率を高めようと考えている企業にとっては、最大のメリットだ。SDGsやESG投資への機運が高まるなか、RE100を意識する企業が急増している。今後ますます重視される観点といえるだろう。
FIT売電単価と
電気料金が逆転
いままでは、電力会社から買う電気の単価(電気料金平均単価)より、FITを使って電気を売る単価の方が高かったので、自分で使うより売電する方が経済的にメリットがあった。しかし、FIT売電単価は年々下落し、今日では電気料金平均単価を下回っている。そのため、売電するよりも自分で使って、その分、電力会社から購入する電気の量を減らした方がお得なのだ。
電気料金平均単価と売電単価※1の推移
*出典:経済産業省 資源エネルギー庁
*グラフの薄い線はイメージであり内容を保証するものではありません。
※1 売電単価は、設置容量が50kW以上250kW未満の場合です。
電気は「売る」より
「使う」がおトク
電力購入量を減らせる
太陽光で発電した分だけ電気代を削減できる。
再エネ賦課金がいらない
年々増加する再エネ賦課金も自家消費なら不要。
導入コストが安くなった
システム価格が下がり、コスト負担が減少。
取材・文/廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.35(2020年秋号)より転載