運転開始10年目に備えよう!パワコンのリプレースにオプティマイザが役立つ理由
2021/05/06
2012年7月の固定価格買取制度(FIT)施行から、8年強が経った。2013年以降に急増した太陽光発電所においては、まもなく運転開始から10年目を迎えることになる。10年目を迎える前に、パワコンのリプレースについて知っておきたい。
運転開始から10年目
パワコンは置き換えが吉?
FIT制度の開始によって、2013年頃から爆発的に増加した太陽光発電所。2023年頃から順次、運転開始10年目を迎える発電所が出てくるだろう。その時に備えて検討しておきたいのが、パワーコンディショナのリプレースだ。
最新の製品は、技術の進展によって発電効率が数%も高まっているため、単純な置き換えだけで発電量を高められる。パネルの急激な価格低減はよく話題に上がるが、パワコンも同様に価格低減が進んでいる。オーバーホールを前提に積み立ててきたメンテナンス費用の範囲で、新型に上手に置き換えられればリパワリングすることが可能となる。
日本市場から撤退しているメーカーの製品を使っている場合には、メンテナンス体制が充実している他社製品へスイッチするメリットは、さらに大きくなる道理だ。
ただし、新型へのリプレースには、注意すべき点もある。
CHECK! 新型リプレース時はケーブル交換が必要になることも
600V系パワコンから1000V系パワコンへと変更したいと思った時、必要となる電圧が異なるため、パネルの直列数を変更する必要が生じる。そのためにはケーブル交換など、別途作業が求められることがあり、要注意だ。
ケーブル変更が発生すれば
工事期間に発電損失も
FITの開始当初、2012〜2014年のパワーコンディショナは最大直流入力電圧が600Vの仕様がほとんどであり、太陽電池のストリング動作電圧はパワコンに合わせて400V程度になるような直列数となっている。
例えば結晶系太陽電池モジュールの場合、14直列が多い。最新のパワコンでは技術革新によって、変換効率を上げるために最大直流入力電圧が1000Vの仕様になり、太陽電池のストリング動作電圧は600V程度が必要である。
したがって、パワコンをリプレースする場合、現状のPV14直列を、20直列に変更する作業が必要になる。この変更工事は容易ではないため、長期間にわたる場合は工事期間中の発電量損失も無視できない。
工事仕様を低圧から高圧へ
変更が必要となる場合も
電気事業法に基づく電気設備技術基準の電圧種別では、低圧(直流750V以下、交流600V以下)と高圧(直流750V以上、交流600以上〜7000V以下)とに区分されており、PV20直列の場合、直流のストリング開放電圧が800Vを超えると種別が変わることになり発電所の工事仕様や安全基準が変わることになる。
14直列から20直列に変更すると同時に電気設備技術基準に準拠して高圧仕様ケーブルへの交換やケーブル敷設の工事仕様の変更が必要になるわけだ。
ストリングオプティマイザが
新型への置き換えをサポート
Amptのストリングオプティマイザを用いれば、14直列はそのままで、ケーブル変更なく1000V系パワコンへの置き換えが可能だ。パワコンの変換効率向上によるプラス分が3%、オプティマイザによる発電量向上が3~5%プラスされれば、6.5~8.5%もの発電量UPが期待できる。
上に示したのは、1000V系パワコンに置き換えた場合の結線図。ストリングオプティマイザが、1000V系のパワコンがフルに動作できるよう太陽電池ストリングの出力電圧を調整するため、ストリングの直列数を変更する必要がなく、電圧は750V以下に保てるので「高圧区分」へのケーブル変更なども必要ない。
結果として、パワコンの変換効率アップによって発電量が向上し、加えて経年により増加しているミスマッチ損失を回復して、合計で8%以上の発電量アップが期待できる。
20年というFIT期間の中でパワコン交換のための投資ペイバックのための残り年数を考えると10年目前後で実施することが経済的に効果的であり、15年目では遅い。リパワリングはそれに要する投資コストと売電収入の増加分によって経済性が決まるので、調達価格の高いFIT初期の発電所ほど、より短期間での投資回収が可能となる。
10年目を迎える前に、発電所のパワコンをどうすべきなのか、賢明な選択肢を検討しておきたい。
パワコンのリプレースを
検討すべき4つの理由
理由1 新型で発電性能UP
新製品は、技術革新によってFIT当初のものから発電効率が数%UPしている。発電量の向上につながる。
理由2 パワコンが廉価になった
パネルだけでなく、パワコンも大幅に価格低下が進んでいる。積み立ててきたメンテナンス費用からリプレース費用を捻出できる。
理由3 保証期間が延びる
パワコンをリプレースすると新しく保証期間が開始することになる。例えば10年保証の場合、FIT期間20年の残りの10年間の保証を得ることになる。古いパワコンのままでは10年を超えると保証切れの場合もある。
理由4 メーカー撤退の可能性
日本市場から撤退しているメーカーであれば、日本におけるサポート体制が整っているメーカーに乗り換える方が賢明だ。
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SOLAR JOURNAL vol.36(2021年冬号)より転載
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