ソニーが再エネ調達の新スキームを発表。「第三者所有」のオフサイト発電所から自己託送
2021/03/09
遠隔地の太陽光発電を送配電ネットワークを介して自社で利用できる「自己託送」。これまで自社の屋根置きが常識だった自家消費の次なる選択肢として、大いに期待されている。自己託送に以前から取り組んできたソニーが新しい取組みを始めた。
オフサイト発電所から再エネ調達
第三者所有でコストも抑制
(出典:株式会社FD)
ソニー株式会社は、自社の敷地外(オフサイト)の牛舎の屋根に設置された太陽光発電設備から、送配電ネットワークを介して送電し系列会社で利用するエネルギーサービス契約を結んだ。自己託送に必要な太陽光の発電予測や計画値提出は、デジタルグリッド株式会社が行う。2月25日、太陽光発電設備を設置した株式会社FDが発表した。
全体のスキームは以下の通り。株式会社FDが太陽光設備の所有者であり、ソニーとはエネルギーサービス契約を交わす。牛舎の屋根上で発電された電気は、一般送配電事業者の送配電網を通って、ソニー系列会社のソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社に届けられるという仕組みだ。株式会社FDは牛舎に屋根賃料と寄付金を支払う。2021年4月から運用を開始する。
今回、ソニーは自社の敷地ではなくオフサイトの発電所を活用できたことで、再エネの調達手段が広がったことがメリットだとしている。また、株式会社FDが所有する発電設備を利用し、大きな投資を抑えながら安価に再エネ調達が可能となったと述べている。
自己託送に必要な「同時同量」
今後の拡大に不可欠なノウハウ
自己託送では、発電事業者や小売電気事業者と同じく発電や需要の予測を行うことが定められている。電気の需給を30分単位で予測した計画値と実際の値を合致させていく運用も必要だ。こうした電気の需給管理は専門性が高く、ノウハウが求められる。
今回のスキームでこの業務も担うのは、P2P電力取引プラットフォーム「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を展開するデジタルグリッド株式会社だ。自社システムを活用し、発電・託送の同時同量の達成に長けている。
今後、こうした自己託送がさらに広がれば、需給管理業務を行うサービスのニーズも高まると予想される。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)