“メガソーラーで大儲け”というビジネスは終わった
2016/11/01
地域熱供給が分散型エネルギーに必要
今後は熱利用も重要です。バイオマス、地中熱などによる地域熱供給の仕組みづくりが必要です。
デンマークでは、再エネで発電した際に出る熱によって作られた60〜70℃の低温水をタンクに貯めて利用する「第4世代」の地域熱供給が進んでいます。電力と熱を組み合わせたスマートシステムもあります。
たとえば風力発電の変動に合わせてバイオマスのコージェネレーションがバックアップ的な役割を果たし、それで生じる熱の過不足を温水タンクが吸収するものです。蓄電池よりもはるかに低コストで効率的かつ合理的です。
家庭の暖房・給湯に使えるため、日本なら建築の断熱技術との組み合わせでエネルギーコストを下げられます。しかし、日本にはその政策がまったくありません。知識体系もないため、いちから学ばなければいけません。
日本は、オフィスビルでは地域熱供給を導入したところもありますが、果たして本当に最新版でしょうか。
熱と省エネで、早くFITから切り離した形での地域エネルギーの自立化を促すことこそ、分散型エネルギーの達成に必要です。
メガソーラーの未稼働案件は然ることながら、50kW未満の設備も30%程度しか運転を開始していない。地域が主体となった小規模な発電事業も課題を抱えていると考えられる。
認定NPO法人 環境エネルギー 政策研究所(ISEP) 所長
飯田哲也氏
自然エネルギー政策の革新と実践で国際的な第一人者。持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した非営利の環境エネルギー政策研究所所長。
Twitter:@iidatetsunari
文/大根田康介
※『SOLAR JOURNAL』vol.17より転載