未稼働案件の事業化をサポートする新たなスキーム「ソーラーフィンテック」とは?
2022/04/06
FIT認定を取得しているにも関わらず、さまざまな原因から事業化に至ることができない未稼働案件。そんな未稼働案件の事業化を助けるとともに、金融機関に対しても融資判断に役立つ情報提供を行う新たなサービス「ソーラーフィンテック」とは? 同サービスを開始したページワン・ネオ・バンクの山科氏に話を聞いた。
未稼働案件が抱える多くの問題
発電事業者にも大きなリスク
2017年の改正FIT法によって、FIT認定を取得した太陽光発電所は、認定取得から3年以内に運転を開始することが義務付けられている。しかし、運転開始に至ることができない「未稼働案件」が日本各地に多数存在する。
経済産業省の発表によれば、2021年10月末時点で、そのような長期未稼働案件は2012〜2016年度の合計で12,590MWに上る。同期間での太陽光発電の稼働済み容量が44,520MWであることを考えると、決して無視できないボリュームだ。
未稼働案件が抱える問題としてよく語られるのが、再エネ賦課金による国民負担の増大だ。高い買取価格が維持されることによって、再エネ賦課金が増大し、電気料金の値上がりにつながると指摘されている。
しかし、未稼働案件の問題は再エネ賦課金だけにとどまらない。事業化できないリスクを抱えるのは発電事業者だ。稼働していない発電所は担保に入れることもできず、融資先の決定にとっても大きな影響を与えることになる。
未稼働案件が生まれてしまう主な理由
①林地開発申請許可が下りにくい
②近隣住民への説明会等と実際の開発内容に相違がある
③造成が困難
未稼働案件が取り残される現状に
“風穴”を開けたい
2007年に設立されたページワン・ネオ・バンクは「キャッシュフローに関するサポート」を通して、企業のさまざまな問題を解決する。調達から製造、販売に至るサプライチェーンに潜む課題を「可視化」によって明らかにし、クライアントのビジネスが再び輝きを取り戻すのを助ける。
ソーラーフィンテックによる未稼働案件の事業化スキーム<一例>
野立てFIT太陽光発電所の開発に熟知したパートナー企業が、ページワン・ネオ・バンクの依頼を受けて現地調査を実施し、事業性を評価。金融機関がファイナンスを再開するための根拠となるレポートを作成する。ページワン・ネオ・バンクは、EPC企業の部材購入もサポートし、未稼働案件の事業化を支える。
未稼働案件が生まれる原因のひとつに、金融機関との調整や発電事業者の部材調達が難航するケースなどがある。そこで、同社は持ち前の可視化のスキルを活用し、未稼働案件をファイナンス・技術の両面から評価するサービス「ソーラーフィンテック」を開始した。
このサービスを利用すれば、太陽光発電に関する第三者機関のレポートとして活用でき、金融機関の与信管理をスムーズに行うことができる。また、同社と協力するパートナーが事業者に対し太陽光発電の資材調達に関するサポートも行う。
同社の代表取締役である山科豊弘氏は「脱炭素のニーズが高まる今、金融機関は、再生可能エネルギーに積極的なところとそうでないところに二極化してしまっています。その理由は、太陽光発電所に対してファイナンス面・技術面から客観的なエビデンス資料が不足している場合が多いからです。こうした金融機関の現状にフィンテックの力で風穴を開けたいと考えています」と語る。
代表取締役の山科豊弘氏は独立前、日本アジアグループ子会社の代表を務め、その際にグリーンエネルギー分野の業務にも携わった。企業経営に携わった経験を活かし、ファイナンスの側面から太陽光発電の普及に尽力する。
金融機関との視点の違いに着眼
ギャップ埋め事業化をスムーズに
ページワン・ネオ・バンクはフィンテック・事業再生・事業引き継ぎ支援・事業バックアップに関するサービスを提供している。特に、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせたフィンテックによるソリューションは、同社の得意とするところだ。
山科氏は独立前、日本アジアグループの子会社においてグリーンエネルギー分野に携わっていた。その際、FIT認定を取得し、土地代の調達が決まっているにも関わらず、その先の事業化に苦労している太陽光発電所が多数あることを知った。
「どうにかして現状を打破できないか」。そう考えた山科氏は、太陽光発電事業に携わる企業などと対話を重ねるうちに、同社のフィンテックを活用すれば未稼働案件の事業化をサポートできるのではないかと気付いたという。
山科氏は「実際に太陽光発電事業を行っている方々と意見を交換する中で、彼らの視点と金融機関の視点が大きく異なることに気付きました。この視点のギャップを埋めるサービスがあれば、太陽光発電所の事業化がよりスムーズに進むだろうと確信したのです」と振り返る。
現場のリスクもしっかり鑑定
脱炭素経営を支える新サービス
2050年のカーボンニュートラル実現を国が掲げたことで太陽光発電に関心が集まっているものの、実際のところ、消極的な金融機関も多いと山科氏は打ち明ける。また、近年、太陽光発電ベンチャー企業の倒産なども話題になったことから、太陽光業界に対し一歩引いたスタンスを取っているという本音も聞かれるという。
その一方で、発電事業者にとっては先立つものがなければ事業化が困難だ。特に、地方に建設される太陽光発電の案件では、地域に固有の土地などの課題が現場に潜んでいる場合も多い。そういった細やかなポイントも「ソーラーフィンテック」の評価に含めることで、実情に合った判定ができるようになるという。
「太陽光発電所は、完成して初めて収益を生むものです。発電所そのものは保全になりますが、事業化までには調達が必要です。『何が、どう大丈夫なのか』をきちんと明らかにし、事業化に至るプロセスをサポートできれば、未稼働案件の問題解決につながると考えています」と山科氏は話す。
ページワン・ネオ・バンクの「ソーラーフィンテック」は、2022年3月にリリースされたばかりだ。山科氏は「ソーラーフィンテックが企業の脱炭素化を実現することにもつながれば」と意気込みを見せる。
問い合わせ
株式会社ページワン・ネオ・バンク
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文:山下幸恵(office SOTO)
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