発電量の損失、“電線の太さ”を変えるだけで解消!
2015/11/25
FIT施行から早3年。2012年に日本メガソーラー整備事業株式会社を設立し、太陽光発電所の「全体の最適化」を追求し続けてきた代表取締役社長 目﨑雅昭氏による“行列ができる”“世界一受けたい”ゼミナールがここに開講。
目立たない場所だが配線ロスは無視できない
事業用太陽光発電の場合、事業利益を最大化するためには、発電効率の向上と発電ロスの低減が不可欠です。中でも見落とされがちなのが、電線の太さが足りないことによる、配線ロスです。
■太陽光発電事業は、簡単そうに見えて、実は設備の設置の仕方や施工、メンテナンスなどで、発電量が大きく違ってくると聞きます。どのようなことが影響しているのでしょうか?
太陽光発電設備は、適切な工事を行うかどうかによって、発電量が大きく変わってきます。
太陽電池パネルに影がかかったり、パワコンの性能が低かったり、その他にも様々な理由で発電量の減少、電気の損失がおこります。なかでも電線の細さに由来する配線ロスは、よく見落とされます。
■配線ロスというのは、どういうことですか?
電気を流す物質には、抵抗(電気の流れにくさ)があるのは知っていると思います。流れにくいところに電気を流すと、電気のエネルギーが熱になって失われます。電熱線はこのしくみを利用したもので、オーブントースターやホットプレートなどに使われています。実は電気を通しやすい金属でも、小さな抵抗があり、電気は熱になって失われているのです。
■配線ロスをゼロにすることはできますか?
超電導物質でも使わない限り、ゼロにはなりません。しかし、レイアウトを工夫して電線の距離を短くすることや、太い電線を使うことなど、配線ロスを減らす方法はあります。
黒板に示した表は、パワコンから接続箱まで(A)が80m、接続箱からパネルまで(B)が30mという、実際の発電所で多く見られる距離を前提とした場合に、A・Bそれぞれに使用する電線の太さから、配線ロス率にどのような違いが生じるかを示したものです。JIS規格の一般的な太さの電線を使用した場合、配線ロス率は3%。Aにより太い電線を2本使用し、Bにも一般より太い電線を使用した場合には、配線ロス率は1.09%に抑えられます。 しかし、A・Bどちらにも細い電線を使用した不十分な施工では、配線ロス率はなんと7.48%。使用する電線の太さが違うだけで、実に6%以上もの発電量の差が発生するわけです。大規模なメガソーラーほど、敷設する電線が長くなり、配線ロスが大きくなります。ですから、よりいっそう、電線の太さには留意することが求められます。
(画像※黒板1)