ソーラーエッジが今年のPVトレンドを示す! リパワリング/オフサイトPPA/自家消費
2024/02/16
2024年、日本の太陽光発電ビジネスはどこに向かうのか? そして、その先に求められる新たなソリューションとは? ソーラーエッジの川下宜英氏に、今年のトレンドと同社の取り組みを聞いた。
パネル交換・増設による
「リパワリング」をサポート
川下氏は、日本の太陽光発電ビジネスにおいて、今年注目すべきトレンドとして次の3つを挙げる。「リパワリング」、「自家消費」、そして「オフサイトPPA」だ。それぞれに、これまでとの違うフェーズを迎えようとしているという。
「FITスタート当初に建設された太陽光発電所が、産業用だけでも15GWぐらいあります。運転開始から10年が経ち、パワーコンディショナを見直すべきタイミングとなっています。加えて、2024年度からは既設案件の改修に関する制度が変わり、パネルの増設や載せ替えも行いやすくなります。こうした背景のもと、今年はリパワリングが本格化し、そのやり方も多様になってくるものと予想されます。
FIT40円案件では、すでに初期投資の大半を回収できているところも少なくありません。そうした発電所の中には、設置パネルをすべて最新のものに入れ替えようと考えるところも出てきています。高効率な新しいパネルになると、同じ面積でも発電量が大きく向上しますから、10年前のパネルを使い続けるより、投資額を勘案してもトータルな収益はアップすると試算されます。
また、状態の良いパネルはそのまま使い、劣化したものだけを最新パネルと交換するというケースが増えてくるでしょう。設置環境によっては、一部のパネルを両面発電タイプにすることも考えられます。さまざまなかたちで、新旧のパネルを一緒に使いたいというニーズが高まっていくのです」。
とはいえ、新旧の異なるパネルを混在させて使うには、技術的な課題や制約もあった。川下氏は、そのポイントを次のように整理する。「一般的には、新旧のパネルを1つのストリングに混ぜることができないので、アレイごとに分けたり、パワコンごとに分けるということが必要となります。既存レイアウトの制約があるなかでは、ストリングのつなぎ方が問題になりますし、物理的に配線が難しいケースも出てきます」。
しかし、ソーラーエッジは、こうした課題をパワーオプティマイザによって解決しているという。パワーオプティマイザには、同社独自のMLPE(Module Level Power Electronics)技術が凝縮されており、モジュールレベルでの電力制御や最適化を行うことができる。パワーオプティマイザを設置していれば、同一のストリングに新旧パネルが混在していても、それぞれに最大のパフォーマンスを引き出すことが可能になるということだ。
ソーラーエッジは近々、一般的な集中型パワコンからのリパワリングに最適な50kWcの三相シナジーパワコンを発売する。パワーオプティマイザと連携して、圧倒的なリパワリング効果を発揮するものだという。他にも各電圧帯の製品がラインナップされているので、ほとんどの発電所のリパワリングに対応できる。
パワーオプティマイザと協調動作する
三相シナジーパワーコンディショナ SE50K-JPI2
「オフサイトPPA」における
パネルの過密設置にも対応
企業の再エネ導入手法として、急速な広がりをみせるコーポレートPPA。「オンサイトから始まったその動きは、今年いよいよ、オフサイトを本格的に活用するフェーズに移っていく」という。オフサイトPPAにおける太陽光発電設備は、必然的に地上設置型となる。ここにある課題とは? 「発電量の最大化に向けて、限られた土地にいかに多くのパネルを設置するかが大きなテーマとなります。結果として、アレイの間隔を狭くする傾向が強く、手前のアレイがパネルに影を落としてしまうケースも増えてきます。そうなると、パネル間の発電量にバラつきが生じるだけでなく、ストリング全体の発電量が落ちてしまいます」。
この問題の解決にあたっても、やはりパワーオプティマイザが重要な役割を担う。パネルに影がかかっても、他のパネルに影響を及ぼすことがなくなるので、各パネルの性能を活かしきり、発電所全体のパフォーマンスを最大化することができるのだ。
加えて、ソーラーエッジは、「豊富な経験からオフサイトPPAに関わるプレイヤー間の“ハブ”として機能する」という。
「オフサイトPPAでは、電力会社・小売電気事業者・ファイナンス事業者など、さまざまなプレイヤーの協力が必要です。また、設置地域の住民や自治体の理解も不可欠です。私たちは、製品を提供するだけでなく、そうしたステークホルダーの調整役にもなっていきたいと考えています」。
「自家消費」の成否を分ける
絶対安全という新発想
自家消費については、売電に代わるトレンドとなって久しいが、川下氏は「今年は特に自家消費の“安全性”がクローズアップされる」と予見する。自家消費型太陽光発電設備は、ほとんどの場合、建物の屋根上に設置される。だからこそ、そこには高い安全性が求められる。しかし、日本の基準から世界基準に目線を引き上げることが急務となるだろうと指摘する。
「日本では、一定の安全性を確保できている。しかし、海外では政府の規制や保険の要件として、さらに高度なリスクゼロの“絶対安全”に向けた基準づくりが進んでいます。例えば、アメリカではNEC(National Electric Code)に基づいて、ラピッドシャットダウン機能や、同じ形状でも異なるメーカーのコネクタを接続しないことが義務付けられています。タイ・フィリピン・シンガポールなど東南アジアの国々でも、アメリカのNECに基づく基準を採用しています。
日本には絶対安全に向けたグローバルな基準が浸透しておらず、各事業者の判断に委ねられているのが現状です。しかし、自家消費型太陽光発電設備が増えていけば、この課題は否応なく顕在化してくるでしょう」。
ソーラーエッジでは、グローバルな安全基準を先取りした製品(パワコン/パワーオプティマイザ)で、この課題に応えている。そこには、コネクタの異常な熱発生を識別しアーク放電の発生を未然に防ぐ「ソーラーエッジ Sense Connect」や、感電のリスクを最小限に抑える安全機能「SafeDC」などが搭載されている。
2024年、ソーラーエッジのソリューションが、ますます大きな役割を果たすことになりそうだ。
PROFILE
ソーラーエッジテクノロジージャパン株式会社
テクニカルマーケティングディレクター
川下宜英氏
問い合わせ
ソーラーエッジテクノロジージャパン株式会社
神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎東4-5-24-A館
TEL:050-3092-2988
E-mail:Japan-info@solaredge.com
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取材・文:廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.48(2024年冬号)より転載
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