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架台メーカーとEPCの顔を持つ動力。販売から施工まで一気通貫

太陽光発電設備の金具・架台のメーカーに端を発する動力は、全国で展開するEPC(設計・調達・施工)事業で培ったノウハウをもとに、独自開発の製品を生み出している。メーカーと施工という車の両輪で強みを発揮する同社の事業展望に迫る。

 

<目次>
1.瓦屋根などへの金具・架台の開発メーカーとして創業
2.営業現場と製造が密に連携 製品へ迅速なフィードバック
3.一括管理で高い施工品質 この春に関西営業所を開設
4.独自製品で人材不足を解決 資源循環に向けた技術開発も
5.産業用・住宅用の幅広いニーズに応える!動力のオリジナル金具・架台の最新ラインナップ4選

 

瓦屋根などへの金具・架台の
開発メーカーとして創業

動力の前身は、2008年に太陽光発電設備の金具・架台のメーカーとして愛知県蒲郡市で創業したスズキ太陽技術だ。蒲郡市のある三河地方は、日本三大瓦の1つである「三州瓦」の名産地として知られている。同社は、瓦屋根などに太陽光発電設備を設置するための金具・架台の研究に取り組み、独自開発の製品を多く生み出してきた。15年には、東京証券取引所が運営する国内外のプロ投資家向けの市場「TOKYO PRO Market」に上場し、その翌年に社名を動力に変更した。

動力という社名は、「エネルギー」という意味の他、人べんをつけると「働く力」、ローマ字表記では「努力」とも読める。このことから、「チームワークで新たな時代を支えるエネルギーになる」という思いが込められているという。動力は現在、製品開発に加えて全国でEPC事業を展開している。メーカーとして培った知見をEPC事業へ生かすとともに、現場の意見を製品開発にフィードバックし、改善のサイクルを繰り返すことで、両方の事業における顧客満足度を高めている。

 

 

営業現場と製造が密に連携
製品へ迅速なフィードバック


さまざまな施工条件に対応した金具・架台の研究、開発、販売に取り組んでいる。(提供:動力)

動力の製品開発の姿勢について、取締役・市場開発部長の芦原清一郎氏はこう説明する。「当社の開発チームは、お客さまの現場を実際に訪問し、施工性などについてのヒアリングを行っています。その結果を製造現場にフィードバックして、施工性をさらに高める努力をしています」。

「SMAC AL(スマックエーエル)」は、ボルトを1本締めるだけで、モジュールの設置と接地が同時にできるアルミ製ハゼ式折板用掴み金具だ。工場や倉庫などの折板屋根に太陽光発電を設置するのに最適であり、動力の主力製品の1つだ。「SMAC ALにはケーブルを固定するための穴があるのですが、施工現場からの意見を反映して、次の出荷ロットから穴の位置を変更するマイナーチェンジを行ったことがあります」と話す。顧客や現場からの声を受けて、1年未満でフルモデルチェンジをすることもあるという。「営業、製品開発、経営といったあらゆる部門が密に連携していることが、改善のスピード感につながっていると考えています」と芦原氏は胸を張る。

一括管理で高い施工品質
この春に関西営業所を開設


工程管理や資料の共有、作業の報告といったデジタル化にも力を入れる。(提供:動力)

金具・架台を自社で開発することによるノウハウは、EPC事業における販売や施工にも生かされている。取締役・営業部長の平田誠氏は、「金具・架台の設計から施工作業に至るまで、工程全体を一括して管理することで、迅速で高い施工品質を実現しています」と述べる。

一般的な太陽光発電の施工では、足場の組み立てや屋根の工事、電気工事などをそれぞれ異なる業者が行うケースが多い。しかし、動力では、各作業を一括で管理・進行するため、施工品質の向上やスピードアップが可能だ。また、施工管理業務のデジタル化にも早くから取り組み、生産性の向上に努めているという。

平田氏は、25年度の営業戦略について、「お客さまからのご要望にお応えして、大阪・関西エリアの拠点となる関西営業所をこの春にも開設します。これによって営業拠点は全国6拠点になります。施工やアフターケアをさらに強化して、全国できめ細かく対応していきたいと考えています」と力を込める。

独自製品で人材不足を解決
資源循環に向けた技術開発も

この4月から、東京都や神奈川県川崎市で新築住宅などへの太陽光発電の設置を義務付ける新制度が始まる。芦原氏は、「太陽光発電を屋根に設置する場合、その下の事業活動や暮らしを守る信頼性がより重視されます。また、施工する人材の不足も深刻です。当社は、誰にでも施工しやすく、耐久性の高い金具・架台を開発し、人材不足の解決に貢献したいと考えています」と意気込みを語る。

動力は、太陽光発電の他に、廃棄プラスチックを熱分解することで再生油を回収するケミカルリサイクル装置「Pyro Renergy(パイロリナジー)」を開発している。限りある資源を未来につなぐという思いから、大阪・関西万博にも出展する。自然エネルギーや廃棄プラスチックから「無限の動力」を生み出す同社の取り組みから目が離せない。

産業用・住宅用の幅広いニーズに応える!
動力のオリジナル金具・架台の
最新ラインナップ4選

折半屋根用金具


わずか220gに軽量化し、搬入や据え付けの負担を大幅に軽減した。アルミ製のため塩害地域でも利用でき、コストダウンにも役立つ。(提供:動力)


屋上設置取付架台


ビルの屋上設置に特化した架台。縦レールをユニット化し、施工時間の短縮を実現した。湿式基礎だけでなく、乾式基礎にも対応する。(提供:動力)


置き基礎架台


屋上にアンカーを打たない工法で防水の心配がない。熟練の技術がなくても容易に施工できる。従来の方式と比べて工期も大幅に短縮できる。(提供:動力)


屋上水平設置型取付架台


屋上水平設置型の乾式基礎専用の取付架台。パラペットを越えない高さで設置でき、高さ制限の課題の解決に役立つ。景観に関する条例の対策にも最適だ。(提供:動力)

 

 

話を聞いた人

株式会社動力
取締役営業部長

平田 誠 氏


全国の施工管理はお任せ!


株式会社動力
取締役 市場開発部長

芦原 清一郎 氏


架台・金具のエキスパート!

問い合わせ


株式会社動力
愛知県安城市三河安城東町2-3-10
TEL:0566-91-3880
FAX:0566-91-3881


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

SOLAR JOURNAL vol.53(2025年春号)より転載

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