環境再生型農業と営農型太陽光発電で 「農地の未来を守るプロジェクト」が本格始動!
2026/05/26
ヤンマーの環境再生型農業と営農型太陽光発電のプロジェクト「SAVE THE FARMS by YANMAR」が本格的に動き出した。このプロジェクトは日本の農業をどのように変えるのか。モデル地区の1つである滋賀県栗東市へ取材に向かった。
1.持続可能な農業と 脱炭素社会の実現へ
2.単なる発電事業ではない。「農地の未来を守る」活動
3.農機の自動走行や ドローンの活用も視野に
4.2030年度までに 1000haの農地に拡大
持続可能な農業と
脱炭素社会の実現へ
田んぼの一角に設置されているのは、一列に並ぶ太陽光発電設備。大きなトラクターが支柱の脇をスイスイと進んでいく。聞けば、農機が走行しやすいように支柱を一本足にしているという。一本足にすることによって、連鎖倒壊のリスクを低減することにもつながるのだ。
滋賀県栗東市。琵琶湖の南に位置し、「近江米」などのブランド米で知られるこの地域で、ヤンマーはこの4月から新たな取り組みをスタートさせた。名付けて「SAVE THE FARMS by YANMAR」プロジェクト。営農型太陽光発電による持続可能な農業と脱炭素社会の実現を目指す新規事業だ。
SAVE THE FARMS by YANMAR
のビジョン

単なる発電事業ではない。
「農地の未来を守る」活動
プロジェクトを推進する背景には、農業の担い手不足や所得減少などの構造的な課題への強い危機感がある。ヤンマーホールディングス技術本部の田中健一さんはこう説明する。
「全国的に後継者が不足するなか、このまま耕作放棄地が増え続けると、多くの農地が機能しなくなってしまいます。そこで農業をしながら発電する営農型太陽光発電で収益性を高めて、農業そのものを次世代が希望を持てる産業へと再定義することが重要だと考えました」。
つまり単に発電をするだけではなく「農地を守りながら活用していく」というアプローチがこのプロジェクトの根幹だ。
TEAM YANMAR

左から、現地での農作業を担当するヤンマーシンビオシス株式会社の山下茂樹さん、プロジェクト全体の企画立案から立ち上げを行ったヤンマーホールディングス株式会社事業企画管理チーム チームリーダーの田中健一さん、営農面を支援するヤンマーアグリジャパン株式会社の薦田葉月さん。他のメンバー含め、グループを横断して結成したチームでプロジェクトを推進する。
農機の自動走行や
ドローンの活用も視野に
滋賀県栗東市ではヤンマーが、地元の上砥山営農組合と連携して太陽光発電と米づくりに取り組む。約4200㎡の水田の一角に一本足架台の発電設備を設置し、今年4月から営農を本格化している。将来的には農機の自動走行やドローンの活用を見据えている。
太陽光パネルの出力は66.64kW、年間発電量は約7万8000kWhで、災害時には地域住民への給電など、エネルギーの地産地消と地域レジリエンスにも貢献する。栗東市では、ヤンマーのグループ企業が10年以上にわたって上砥山営農組合とともにニンニクやタマネギなどを栽培し、地域住民との信頼関係を築いてきた。
岡山県岡山市では、地域の農業者に営農を委託する形でプロジェクトを展開する。栗東市、岡山市ともに太陽光設備はヤンマーが保有し、オフサイト型PPA(電力購入契約)によって電力を供給する。
栗東モデルのPoint! ①
「一本足」だから農業機械が通りやすい

営農型太陽光発電で注意したいのは、太陽光発電の設備を建てたことで農作業に支障が出ること。一本足構造は従来工法に比べて支柱の数が少ないため、トラクターなどの大型農業機械の旋回が容易になるのが最大のメリットだ。作業効率が大幅に向上し今後の自動走行にもつなげやすいほか、コスト面で部材を減らせる利点もある。ただ、構造上の強度を保つために高度な設計技術が必要で、信頼のおける国内メーカーの協力が欠かせない。
栗東モデルのPoint! ➁
循環型・持続型の農業を多角的に実現

バイオ炭で土壌活性
イネのもみ殻などの農業副産物を炭化し、土壌の炭素貯留に寄与するバイオ炭に、土壌中の養分の供給や作物の健全な生育を助長するといった微生物機能を付与し、農作物の収量を向上させる資材「高機能バイオ炭」をNEDOの事業で開発中。

水位センサー稼働中
また、本文中で触れた水稲の中干し期間の延長には水位の記録が不可欠であり、遠隔で水位を確認できるスマート水管理センサーを使用して作業を効率化している。
2030年度までに
1000haの農地に拡大
ヤンマーでは、栗東市のような自社営農型モデルと合わせて、2030年度までに全国1000haの農地にプロジェクトを拡大する計画だ。
さらにこのプロジェクトは、農業をカーボンネガティブへと転換する取り組みを同時に進めていく。栽培する水稲の中干し期間を延長してメタンガスの排出を抑制する手法を採用。加えて、もみ殻由来のバイオ炭を土壌に施用することで炭素を長期的に固定する。これらの取り組みをJ-クレジットとして可視化・価値化することで、農業を温室効果ガスの「排出源」から「吸収源」へと転換する試みである。
環境再生型農業×営農型太陽光発電が、持続可能な農業のあり方を多角的に実現する。長きにわたって日本の農業者を支えてきた大手農機具メーカーがこの春、新たな一歩を踏み出した。
問い合わせ

ヤンマーホールディングス株式会社
TEL: 03-4218-8766
MAIL:save_the_farms@yanmar.com
文/本多祐介
写真/井ひろみ
画像提供/ ヤンマーホールディングス株式会社
EARTH JOURNAL vol.7(2026年春号)より転載
Sponsored by ヤンマーホールディングス株式会社







