蓄電池市場の健全な発展に向けて──エネマンが掲げる需要家にも投資家にも優しい分散型スキームとは?
2026/05/28
蓄電池事業は、この先どこへ向かうべきなのか。全国120ヶ所以上の産業用蓄電池導入実績を持つエネマンが、今、新たなビジネスモデルを提示する。キーワードは「需要家側への分散設置」と「共同事業による市場参入」だ。代表取締役の三尾泰一郎氏が描く、蓄電池の本質的な価値とその戦略に迫る。
1.系統用蓄電池ブームのその先へ 需要家側リソースを再構築
2.市場参入の壁を突破する 分散型蓄電池コンソーシアム
3.日本社会の安全を守るため サイバーセキュリティを重視
4.蓄電池ビジネスを成功に導く 最良のパートナーとして
系統用蓄電池ブームのその先へ
需要家側リソースを再構築
エネマンは、蓄電池導入のコンサルからシステム設計、さらにはEMS開発やアグリゲーションまで、ワンストップで手掛ける蓄電システムインテグレーター。系統用蓄電池の導入が加速する今、同社が提唱するのは、その一歩先を見据えた「需要家側リソースの活用」だ。
代表取締役の三尾氏は言う。「系統用蓄電池の投資加熱はいずれ落ち着くと予測します。本来、蓄電池が最も価値を発揮するのは、電力を使用する現場(需要家側)です。太陽光発電が一方的に放電するのに対し、蓄電池は外部通信によって充放電を自在にコントロールできるデバイス。この能力を需要家側に分散配置し、統合制御することで、系統全体の安定化と個別施設の節電やレジリエンス強化を同時に実現できるのです。」
市場参入の壁を突破する
分散型蓄電池コンソーシアム

中規模産業用蓄電システム「eneman EN215」
しかし、工場や倉庫などに設置した蓄電池で需給調整市場に参入し、収益を得るためには、「1MW以上」という参入条件が高いハードルとなる。そこでエネマンが提唱するのが「分散化された蓄電池による共同での調整力市場参入」だ。
これは、各需要家のもとに設置した中規模の蓄電池を束ねて、合計1MW以上のリソースとして市場参入するモデル。そして、エネマンのスキームがユニークなのは、その事業主体を複数の投資家からなる共同事業体としているところだ。
「希望する需要家には、蓄電池をゼロ円で設置させて頂き、特定付加電源配線によるBCP対策を行います。一方、共同事業に参画する投資家に対しては、その蓄電池を市場運用することで得られる収益を分配するプロセスができあがろうとしています。これについては、本年度から実証事業を開始し、2027年度以降に実現の見込みです」(三尾氏)。
需要家にとっても、投資家にとっても参画しやすく、メリットは大きい。このスキームを使えば、工場・倉庫はもちろん、公共施設への設置による地域防災力の向上や、営農型太陽光発電での活用など、蓄電池の導入を様々なシーンで加速させることができる。
日本社会の安全を守るため
サイバーセキュリティを重視
蓄電システムの構築にあたって、三尾氏が重視しているのが「サイバーセキュリティ」だ。エネマンは、国の実証事業にも加わり、サイバーセキュリティの課題解決に取り組んできた。
「外部通信で蓄電池を制御することは、システムの乗っ取りなど、エネルギーインフラに対するリスクともなりかねません。私たちは、つねに最新のサイバーセキュリティを追求し続けています。このことは、日本社会の安全を守っていくためにも極めて重要な責務であると考えています」(三尾氏)。
蓄電池ビジネスを成功に導く
最良のパートナーとして
「蓄電池市場は今、大きな転換点にあります。だからこそ、ビジネスとしての収益性だけでなく、社会インフラを支えるという志が不可欠です」と三尾氏は結ぶ。
蓄電池を巡る市場環境や制度は極めて変化が速く、複雑だ。独自の技術と精緻なビジネスデザイン、そして高い志をもって、日本のエネルギーインフラ刷新に取り組むエネマン。その試みは、蓄電池活用の新たな選択肢として、今後ますます多くの事業者から注目を集めることになるだろう。
問い合わせ
株式会社エネマン 代表取締役
三尾泰一郎氏

株式会社エネマン
東京都千代田区麹町4丁目5-20 KSビル8階
TEL:03-6867-1793
取材・文/廣町公則
BATTERY JOURNAL vol.01(2026年春号)より転載
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