政策・マーケット

米国で増えるRE100企業 再エネ導入で経費削減効果

アメリカ在住のアナリストが読み解く!「USAソーラー事情」。全ての事業運営を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100」。参加する米国企業は31社。増加の理由はサステナビリティ戦略だけではなく、経費削減につながるという点も大きいようだ。

名だたる企業が続々参加
CSR戦略以外にもメリット

IT企業のアップル、グーグル、フェイスブック、大手食品会社(M&M’Sのチョコレートなど)のマース、スポーティンググッズのナイキ、コーヒーフランチャイズのスターバックス、大規模小売店のウォルマート、日用消費財メーカーのピーアンドジー、そして自動車会社のゼネラルモーターズ。これらの多様な業種に渡る米国企業に共通するものは?

それは、全ての事業運営を100%再生可能エネルギーで賄うという「RE100(再エネ100%)」の目標を持ち、積極的に再エネを導入しているという点だ。

再エネ導入は、CSR(企業の社会的責任)の一部としての温暖化問題への対策だけではない。太陽光発電や風力は運転に燃料費が不要であるため、化石燃料のコスト変動・高騰を回避し、自社の電力コストを安定化、さらに削減することができる。つまり、自社の社会的責任を果たすだけではなく、自社の経費削減による経営改善にもなる。

太陽光発電コストが
化石燃料のコストを下回る

「経費削減」ができる理由の一つには、近年の太陽光発電の導入コストが大きく低下し、発電コストが火力や原子力よりも低くなってきたことがある。そのため従来の化石燃料の電力を購入するより、再エネを導入した方が、経済的メリットが出るようになってきたのだ。実際、全世界での事業を再エネ100%で賄う目標を2017年中に達成するグーグル社は、再エネの価格低下により「再エネの電力は最も低コストな選択肢になってきた」と、再エネ導入拡大の加速を説明した。

米ファイナンシャル会社のラザード社によって昨年末に発表された発電源別均等化発電原価(LCOE)の分析によると、2016年における大規模太陽光発電所の発電コストは前年比11%減、2009年からは85%減と大きく下がっている。実際、シリコン系モジュールによる大規模太陽光発電所の発電コストは49〜61ドル/MWh、薄膜シリコン系モジュールは46〜56ドル/MWhと報告されている。

つまり、kW時だと5セント〜6セントということだ。石炭火力の発電コストは、60〜143ドル/ MWh、天然ガス火力発電コストは48〜78 ドル/MWhであった。これは、太陽光発電の発電コストが、従来の化石燃料の発電コストに匹敵、さらに下回るまでの低コスト化が進んでいることを意味する。

オフサイトでの
長期電力購入が増加

ウォルマート社のように、店舗、倉庫、流通センターなどの比較的規模の大きな施設を全国に持つ企業は、電力消費が発生する場所(オンサイト)に太陽光発電導入を中心に、RE100%に取り組む。実際、ウォルマート社は全米364サイトに計147MWの太陽光発電を設置済みである。

グーグル社やアップル社も本社のキャンパス内に大規模屋根置き太陽光発電を導入し、再エネ使用を高めているが、電力消費量が膨大なデータセンターでは、屋根置きの「オンサイト設置」では、消費量に見合う発電量を確保することができない。

そこで、企業の敷地外、または電力消費から離れた比較的広い、そして送電網が整った場所に再エネ設備を設置する手法、「オフサイト導入」が増えている。これは、企業が独立系発電事業者によって開発された大規模太陽光発電所などから再エネ電力を購入する契約(PPA:PowerPurchasingAgreement)を結び、データセンターの電力消費量を賄うというものだ。

データセンターを運営する企業にとってデータセンターの使用電力料金は企業の総経費で大きな割合を占めると言われている。実際、グーグル社は再エネPPAにより、従来のエネルギーコストの変動を避け、 電力コストの安定化を図っている。同社は2010年にアイオワ州に設置された114MWの風力発電所から20年間の電力購入の契約を結んだのを皮切りに、現在米国内で計11のPPA(計1.861GW)を結んでいる。

再エネ100%に
遅れをとる日本企業

再エネの低コスト化加速により、環境だけでなく、ビジネスの経費削減に貢献度が認められるようになった再エネ。再エネ100%を掲げる企業が世界で増加する一方、日本企業は遅れをとっている。

世界の企業に再エネ100%を呼びかける活動「RE100」に現在参加している再エネ100%の企業は世界に89社(注:再エネ100%を掲げているが参加していない企業は40社)。89社のうち上記に挙げた企業を含む米国企業が31社、イギリス15社、スイス9社、などと欧州国が続く。

活動を主導する環境NGOクライメート・グループの、「RE100」のリーダーであるサム・キミンズ氏は、「(現在米国企業が再エネ100%でリードをしているが)中国、チリ、メキシコでの再エネ市場が急激に拡大しているので、それらの国に拠点を持つ企業が米国、欧米企業に近い将来追いつくかもしれません」と語った。
現在、アジアでは中国2社、インド3社が「RE100」のメンバーだが、日本企業はゼロである。


取材・文/モベヤン・ジュンコ

SOLAR JOURNAL vol.21(2017年春号)より転載

 

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