政策・マーケット

自治体新電力が巨大都市と連携!? 「久慈地域エネルギー」の事例

淘汰の時代に突入した新電力。"生き残る自治体新電力"は、どのような取り組みを行っているのか? 今年2月に横浜市との電力供給の連携協定を結んだ、岩手県久慈市の「久慈地域エネルギー」の事例に着目する。エネルギージャーナリストの北村和也氏が、地域電力の本質を解くコラム第3回(前編)。

前回に引き続いて、地元に根付いて活動する「地域密着型の新電力」を紹介したい。岩手県久慈市にある久慈地域エネルギー株式会社である。

選別の時代を迎えている新電力の中で、生き残れる有望な地域エネルギー会社だと考える。前回の福岡県八女市のやめエネルギー株式会社が地元73社の民間企業が資本を出し合って立ち上げられたのに対して、久慈地域エネルギーは、久慈市という自治体の資本が入ったいわゆる自治体新電力だ。



横浜市との連携と
自治体新電力という強力なツール

2月初旬に、『東北12市町村が横浜市と電力供給の連携協定』という記事が、日経新聞など中央を含む各紙に踊った。

久慈市はその中心の1つとなった。久慈市の遠藤市長は、記者発表の記念撮影で横浜市の林市長の2つ隣りに並び、協定書を掲げニコニコ顔であった。

巨大都市の横浜市は自らの力では、再生可能エネルギーによる電力を供給する力がない。よって、供給の余力が望める東北の市町村と連携するというのである。「連携」とはいうが、発電のポテンシャル=再エネという地域資源を自らが保有する地域が、本当はいかに強い存在であるかを示したともいえる。今後はこのようなケースが各地で増えるに違いない。

遠藤市長は、横浜市への電力供給に久慈地域エネルギーを利用することの検討を明言している。もし、自治体新電力が無かったら、これまでのように大きな存在に翻弄されてしまうリスクが残っていたはずである。

久慈市は、“大都市との連携の主導権を握る、自治体新電力というツール”を手にしているのだ。

「あまちゃん」の街から
新電力の街へ

岩手県の久慈市は、人口は3万数千人の小都市である。NHKの朝の大ヒット連ドラ「あまちゃん」の舞台となったことで最もよく知られるといってよいかもしれない。いまでも各所に、「あまちゃん」がらみのポスターなどが残る。

久慈地域エネルギーの小売電気事業者登録が終わったのは、昨年2月だから、やっと1年が経つ生まれたばかりの会社である。とはいえ、すでに久慈市の公共施設のほとんどと民間企業の一部などに電力供給が行われ、順調なスタートを切っている。

会社の資本構成は、久慈市内の民間企業5社と自治体で出来上がっている。確定した定義はないが、自治体の資本が少しでも入れば日本では「自治体新電力」と呼ばれる。東北地方では、県の資本が入ったやまがた新電力に続く2つ目の自治体新電力で、市町村単位では初めてとなる。もちろん、岩手県では唯一の自治体新電力であり、久慈市内の資本だけで成り立つ、地元資本100%の全国でも大変珍しい新電力となっている。

久慈市の資本の割合はわずか5%程度しかないが、これが新電力としての安定度を格段に増し、事業の可能性を広げていることは間違いない。

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