政策・マーケット

2019年は世界の”エネルギー地図”が変わる! 中国市場と日本の現状

世界中でエネルギー転換が起これば、中東諸国やロシアなどの化石燃料輸出国よりも、再エネ技術に投資してきた中国が台頭することになる。再エネシフトが世の流れとなっている今、日本はどのような立ち位置にいるのだろうか。

前記事:「エネルギー地政学」の大転換時代が到来!? 世界的な再エネ移行の動き はコチラ

中国の5・31ショックの影響

再エネ覇権を握りつつある中国だが、昨年5月31日、中国政府が突如業界を揺るがす通知を出した。「5・31ショック」といわれる、実質的なFIT打ち切りだ。



通知では、2018年の買取対象となる太陽光発電設備の新設を規制した。また、分散型電源については年間導入量の上限が10GWと定められたが、5月末時点でその上限に達していたため、2018年中は導入が事実上不可能となると見られた。

それまで世界的な需要に合わせて在庫を積み上げていた中国のパネルメーカーが焦り、各社一斉に在庫処分に走った。中には損切する企業も現れたことで、価格急落の引き金となってしまった。

ただ、「2019年中にはまた活気を取り戻すだろう」と、あるパネルメーカー幹部は楽観視する。

常葉大学教授の山本隆三氏によれば、中国の国家発展改革委員会が今年1月9日、中央政府から補助金などの支援を受けなくても、石炭火力並みの発電コストになる風力、太陽光発電設備を設置するプロジェクトの推進を発表。翌10日には、国家能源局が、発電された全電力を地域内で消費可能、すなわち出力制御対象外の地域がプロジェクトの対象となることなどを発表したという。

こうした動きの中で、2019年も設備導入量の規制が続くのか、動向に注目が集まる。

経産省に振り回された
日本は後塵を拝するか

「昨年は経産省に振り回された1年だった」。前出のパネルメーカー幹部は、こう本音を漏らす。

2018年前半は、経産省によるFIT認定申請に係る審査が遅れたことで、市場は大きな影響を受けた。7月の同省の発表によれば、「2017年度価格の適用を受ける申請件数が例年以上に年度末に集中した上、改正FIT法の施行に伴う申請項目や必要書類の増加、申請不備率の増加等の事由が重なり、審査が遅延」したという。

特に50kW未満の太陽光発電設備の申請については審査期間が3〜6ヶ月と長期化してしまった。

その後、8月には台風などの災害で工事が大きく遅れ、9月にひと段落したと思いきや、突如10月に経産省が未稼働案件ルールを発表。これにより、一気に事態が混沌とした。未稼働案件を一括りにして買取価格を切り下げるという経産省の提案に対し、事業者らは「寝耳に水だ」と批判。混乱に陥り、切り下げそのものは受け入れる姿勢を示しつつも、対象案件を見直してほしいという要望を相次いで経産省に提出した。これを受けて、12月に対象案件が緩和される措置がとられ、いったんは落ち着きを取り戻している。

また、大規模太陽光発電所における入札制度の対象拡大も、事業者に不安を抱かせる内容だった。これまで2MW以上だった入札対象について、2019年度は500kW以上に拡大された。

2017年の第1回は募集容量500MW に対し、認定まで至ったのが41MWに止まった。18年上期の第2回は札割れを起こしてしまい、落札がゼロ。第3回は募集容量を上回り、最低落札価格は14・25円/kWhまで下がった。

制度が順調な中での対象拡大ならまだ分かる。しかし、「手直しすべき点があるのに対象を拡大するのはいかがなものか」という業界関係者の意見もある。第2回からは上限価格が非公表となった。FIT価格が2019年度から14円まで下がる中で、入札価格はいったいどこまで下がるのか。

住宅用でいえば、いわゆる「2019年問題」がどんな動きを見せるのか。2009年から始まった余剰電力の買い取り期間が10年の満期を迎えて、2019年で終了する住宅が増える。同年10月末で約50万件、2GW相当に上り、以降も毎年10万件単位で増加していくと見られている。

期間終了後の買い取り価格は、制度開始当初の48円/kWhから11円/kWhまで下がる見込みだ。また、再エネの出力抑制を求める電力会社が多く、今後は売電ができなくなる可能性もある。

一般消費者は2019年以降、余剰電力を①引き続き売る、②自宅で全て使う、③蓄電池を導入して蓄えるという3つの選択肢がある。経産省は昨年9月、対象家庭が今後の対応を具体的に検討できるよう、電力大手10社に高額買取終了後の料金メニューを、今年6月までに公表するように求めている。

2019年の日本の太陽光市場に
影響をあたえる4つの注目トピック

1 中国市場の動向

昨年5月31日に中国政府が太陽光発電のFIT対象設備量に突然上限を設け、中国パネルメーカーが一斉に在庫処分。価格急落のきっかけになった。今年も引き続き制限されたままなのか、動向に注目が集まる。

2 未稼働案件ルール改正

経産省が昨年10月に突如、未稼働案件に対して買い取り価格の切り下げを提案。混乱に陥った事業者らの見直し要望が相次ぎ対象が緩和された。施工の順番を入れ替えるなど、対応に追われる事業者は多い。

3 入札制度の対象拡大

これまで2MW以上だった入札対象が2019年度は500kW以上に拡大された。FIT価格が14円まで下がる中、入札価格がどこまで下がるのかも注目される。

4 2019年問題

住宅用太陽光発電の余剰電力買い取り期間が終了を迎え始める。蓄電池の活用を含めた自家消費時代に本格突入。産業用も工場や倉庫の屋根などへの設置増が見込まれる。
 
 
このように、2019年は世界のエネルギー地図が大きく転換する。その中で日本も乗り遅れないようにしなければ、他国の後塵を拝することになる。


取材・文/大根田康介

SOLAR JOURNAL vol.28(2019年冬号)より転載



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