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資源エネルギー庁・松山泰浩氏が語る! “再エネ100年構想”実現に向けて

エネルギーの世界は大きな変革期を迎えている。2018年に策定された「第5次エネルギー基本計画」では再エネが"主力電源"と位置づけられたが、今年はどんな一年になるのだろう。昨年7月、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長に就任した松山泰浩氏に聞いた。

主力電源化への第一歩

エネルギーの世界は大きな変革期を迎えています。再生可能エネルギーをどう意義づけ、どう定着させていくかということに、世界中がチャレンジしているといって良いでしょう。



日本は昨年「第5次エネルギー基本計画」を策定し、再エネを、これからの社会を支えていく重要な電源=主力電源と位置付けました。再エネ推進の観点からは、非常に大きな意味をもつ出来事です。ただ、それは再エネが、相応の責任を果たさなければならないということですから、我々政策を担当する者としても気を引き締めるところとなりました。

再エネを安定的かつ長期持続的に、経済性の追求を図りながら、より広く社会に受け入れられるようにしていくために。2019年は、政策の面においても、事業の面においても、さらに力を込めて前進させていかなければならないのです。

FITは最初の10年間もしくは20年間の立ち上がりをサボートする導入促進策ですが、けっして10年間・20年間のためだけにやっているわけではありません。その期間に、事業として、産業として成熟し、社会に定着していってもらうために行っているものです。奇しくも、2019年問題と呼ばれるFIT卒業案件(住宅用太陽光)の出現が目の前に迫っています。今年は、新しいチャレンジができる絶好のタイミングでもあるのです。再エネの主力電源化に向けて、事業者の皆さんの様々な取り組みを、我々としてもできる限り応援していきたいと考えています。

太陽光はもっと増やせる

太陽光発電は、もっともっと導入を拡大させていくことができます。そのためには経済性を高め、FITを卒業した後にも他の電源に勝てるような競争力を培っていかなければなりません。

未稼働案件への対策も、それを実現するためなのです。初期の段階において高いFIT価格で認定を受けた案件が、未稼働であるにもかかわらず、系統の枠の多くを埋めてしまっているのはいかがなものでしょうか。それによって、コスト競争力のある新しい事業者が参入できないという状況が、健全であるとはいえないでしょう。国民負担の抑制にも逆行してしまいます。未稼働案件を整理することで、同じ額の国民負担であっても、より多くの太陽光発電を導入することが可能になるのです。

私は、新エネルギー課の課長だったときから「PV100年構想」を掲げてきました。せっかくFITを通じて導入を促進しているのですから、100年にわたる発電基地として長期安定的に電力を供給し続けてほしいのです。ここで大切になってくるのは、地域の方々のご理解をしっかりと得ながら、発電事業を継続していくということ。つまり、信頼の醸成です。

その意味で、パネルの廃棄問題が、これからますます重要になってきます。発電所を20年、30年、40年……100年と動かしていく過程には、パネルの据え替え、廃棄の時期が必ず訪れます。そのときに、パネルの処理が適切に行われる体制になっているか否か。そのことが、太陽光発電事業の信頼性に大きく関わってくるからです。我々としても、パネル廃棄に向けて資金的な担保ができるような仕組みづくりを検討しているところですが、事業者の皆さんの努力にも期待したいところです。

各電源の特性を活かして

100年構想は、太陽光だけの話ではありません。風力やバイオマス・水力・地熱についても同様です。

風力に関しては、昨年12月に「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が公布されました。これによって、洋上風力発電を行うための事業環境が整備されることになりました。今後は、この法律をベースとして、洋上風力発電を他の電源と競争できるコストレベルで、大量に導入し得るメカニズムをつくっていかなければなりません。100年という長期の軸で考えたとき、洋上のポテンシャルを活かしていくことは、日本にとって不可欠なチャレジなのです。



バイオマス・水力・地熱についても、100年先を見据えた施策が求められます。今は一様にFITで導入を促進していますが、それぞれの電源ごとに、最もふさわしい支援策のあり方を考えていかなければならない時期にきているといえるでしょう。2019年は、それを検討する年でもあるのです。もちろん、その上で、電源横断的な課題も解決していかなければなりません。

再エネ政策の検討フレームワーク

 

出典:資源エネルギー庁

 

再エネ大量導入時代へ

再エネは化石燃料火力とは違い、輸入に頼らなくても良い、エネルギーセキュリティに優れた自給電源です。同時に、分散型電源という再エネの特性は、レジリエンスという意味においても大きな強みとなり得ます。取り組みはまだ始まったばかりですが、その意義を社会が十分に享受できるよう、再エネ大量導入時代に向けた環境整備も着実に進んでいます。次世代型ネットワークの作り方、負担の在り方、利用の仕方……そうしたことについても引き続きしっかりと議論していきます。

我々は、他の電源に負けない、自立した再エネ産業を日本に根付かせたいと思っています。それを担い得るのは、実際に事業を行っている皆さんです。改革のフロントランナーとして、一緒に未来づくりに取り組んでいきましょう。

PROFILE


経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長

松山 泰浩氏

1992年 通商産業省(当時)入省。環境・エネルギー政策ほか、通商政策(FTA)、IT推進行政等の各種政策企画・実施を担当。2009年より3年間、ジェトロ・ロンドン産業調査員として、欧州・中東のエネルギー調査活動を担当。帰国後、石油・天然ガス課長、経済産業大臣秘書官、新エネルギー課長、資源エネルギー庁長官官房総務課長を経て、2018年7月より現職。


撮影・取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.28(2019年冬号)より転載

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