政策・マーケット

再エネ電源保有とコラボが鍵!? 新電力「青森県民エナジー」の取り組み

新電力が淘汰の時代を生き残るために、何が求められるのか? 今回は、青森県の「青森県民エナジー」の取り組みに着目し、その特長と課題について、エネルギージャーナリスト・北村和也氏が分析する。

発電と生協の”きれいな”
コラボレーション

地元に根付いて活動する「地域密着型の新電力」の3回目となる。

第1回:福岡県「やめエネルギー」が目指すまちづくりとは?
第2回:岩手県「久慈地域エネルギー」が巨大都市と連携!

今回取り上げるのは、青森県八戸市に本社を置く青森県民エナジー株式会社である。本社は八戸市であるが、名前の通り県全域を対象とする県域エネルギー会社として、およそ2年前から電力の供給を始めている。

この地域新電力、青森県民エナジーの“選別の時代”での切り札は、地域での再生エネ発電事業と地元の生活協同組合のコラボである。今、青森県で初めての県内民間資本100%の地域新電力として、その存在感がじわじわ増してきている。

青森県内で市民風車を始めていた県内の事業者が大型の太陽光発電にも取り組み、その電力を地元の県民に使ってもらうことを目指したのは3年前近く前のことだった。その目的に、再生エネの拡大と利用を掲げる県内の生活協同組合が乗って、青森県民エナジー株式会社が誕生した。

需要者側では資本を入れた青森県民生活協同組合に加えて、複数の県内生協が連携して供給先の拡大を図っている。連携する生協の加盟組合員数は、近いうちに20万人を軽く超えることになる勢いとなっている。

資本参加した発電事業者側は、県内に風力発電といわゆるメガソーラーを有している。間接的な所有も含めて10MW程度にもなる。青森県の主要な再生エネ発電施設のほとんどが県外資本という実態の中では、まさに異色の存在である。

一方で、発電した再生エネ由来の電力を地元に流したいと考え、もう一方では、組合員に再生エネからの電気を使ってもらいたいという両者の思いはごく自然に結びつくことになった。

つまり、調達元と供給先がつくったきれいなコラボの結果が、青森県民エナジーというわけである。

再エネ電源保有の
メリットを生かす

 
お話したように、青森県民エナジーの大きな特徴は“自前の発電施設”を持っているということである。正確に言うと、施設を保有するのは青森県民エナジーそのものではなく、関連の会社やNPO法人に所属する個人であるが、いずれにせよ県内の資本であり、コントロールが効きやすいことには変わりない。

ご存知のように、FIT電源は固定価格買取制度を利用して電気を高い値段で買い取ってもらっているため、「再エネ電力」とうたうことが禁じられている。しかし、比較的簡単な手続きで地域内の新電力などに旧一般電気事業者を通じて卸売りをすることができ、いわゆる『地産地消』を実現するツールとなる。

また、ほぼ自前の電源であり、将来、FIT制度から”卒業”した時点で、本当の再生エネ電力として使えるようになるため、再エネ主力電源化とRE100化時代の到来を見据えて、大きな強みを持つことになる。

驚きのFIT電源率93%を記録

 
FIT電源と再エネ電力との関係は述べた通り窮屈なものである。しかし、元をたどっても化石燃料に行き当たらないことと将来の再生エネ電力化のポテンシャルを含めると、FIT電源そのものにも価値があるという考え方が根強く存在する。同様の考え方からFIT電源の調達を重要視する全国の生活協同組合は少なくない。

青森県民エナジーでは、立ち上げ後のかなり早い時期から“自前の風力発電”を電源として使い始めた。関連する1MWの風車を調達先に組み込んでいるのである。この結果、2017年の11月には風車ががんがんと回って、月間のFIT電源率93%という非常に高い数字を記録した。プレスリリースにまとめたところ、複数の地元のマスコミが取り上げ、「新電力出だし好調」などと良い宣伝にもなった。

また、県内の太陽光発電からの電力も取り入れ始めており、複数の種類の再エネ発電施設利用への道を開きつつある。4月からのインバランスシステムの変更を慎重に見据えたうえで、発電から供給までを地域で行うという全国の手本になりうる取り組みが進む。

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