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トップは中国! クリーンエネルギー投資総額は5年連続「3000億米ドル超」に

中国のクリーンエネルギー投資額
前年比32%減少

2018年のクリーンエネルギーへの投資額を国別に見ると、中国が2012年からトップを維持し、総額1000億ドルと、全体の30%を占めた(グラフC)。中国は太陽光発電の価格低下、洋上風力発電や電気自動車(EV)の拡大にあたり世界で重要な役割を果たしている。しかし、太陽光発電導入価格の低下などにより、同国でのクリーンエネルギー投資額は前年比32%減となった。

出所:BloombergNEF

米国は2位で、投資額は前年比11%増の640億ドルとなり、全体の12%を占めた。米国では連邦政策による「再生可能エネルギー導入投資税控除(ITC)」の控除率が低くなる前に太陽光と風力の調達が増加したことが反映されている。日本は3位で、前年比16%減の272億ドルであった。ヨーロッパは全体的に見て、投資額は前年比27%増の745億ドルとなった。これは億ドル規模の大規模な洋上風力発電への投資が貢献している。


企業のクリーンエネルギー投資
年々増加傾向に!

2018年、中国、ドイツ、日本、インドなど主要な国で投資が下がったものの、米国では投資が拡大した。BNEFと米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2018年米国では前年比2.6%増の19.5GWの再エネが導入された。うち太陽光発電は11.7GW、風力は7.5GWを占めた。

出所:BloombergNEF

米国での総電力発電構成における再エネの比率は前年比5.1%増の18%を占め、2009年の11%から再エネ電力の貢献が大きく伸びている。米国市場で特に注目すべきは、企業によるクリーンエネルギーへの投資である。クリーンエネルギーの調達を進めている業界の数は年々増加し続け、2018年米国で企業が結んだ太陽光と風力の長期購入契約(PPA)は、最高記録の8.6GWに達した。

最も契約規模が大きかったのは、フェイスブック社の2.5GWで、太陽光発電PPAは2GWを占めた。さらに州による「再エネ100%」目標への対応が挙げられる。州政府が小売電力事業者に対して再エネの利用比率を義務付ける「再エネポートフォリオ基準(RPS)」の再エネ比率を引き上げている。ハワイ州とカリフォルニア州は既に100%を法律化しており、現在、コロラド、ネバダ、イリノイ州も「再エネ100%」目標を視野に入れている。

2019年の予測では
投資総額は昨年度を下回る

太陽光発電、風力、そしてリチウムイオン電池などの低価格化に加え、投資家、企業の「サステナビリティ(持続可能性)」への取り組みがさらに強まることから、エネルギーの低炭素化・転換はこのまま進むとされている。実際、風力と太陽光発電の新規導入量は2019年に増加すると予測されている。太陽光発電の導入量は125GWから141GW、風力は70GWを超え、さらにエネルギー貯蔵は10GWhを超える見通しだ。



しかし、特に太陽光発電や風力発電のコストが低下し続けているので、ドル投資総額を前年同様にするためには、さらに多くの容量のクリーンエネルギーを調達しなければいけない。BNEFは2019年の投資総額は3000億米ドルを超えるが、上記の理由で2018年の3321億米ドルを下回るだろうと予測している。

PROFILE

モベヤン・ジュンコ

太陽光発電電池メーカーで7年間産業経験を積んだ後、2006年から太陽光発電調査会社米ソーラーバズでシニアアナリストとして活躍。2013年よりジャーナリストとして、米国の太陽光発電政策や市場トレンドに関する記事を日欧米のメディアに多数執筆。


SOLAR JOURNAL vol.29(2019年春号)より転載

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