政策・マーケット

コープでんき、中部電力にも注目! 各社が取り組む「独自の卒FITサービス」とは

電力供給とセット、蓄電池とセット、お得な買取価格には理由がある。Amazonギフト券やWAONポイントなど、他社との提携サービスも広がっている。価格メニューだけでなく、様々なサービスをトータルで考えることが必要だ。

ガス会社の攻勢つづく

新電力として大きなシェアをもつガス会社の勢いは、卒FIT電力の買い取りにおいても変わらない。

新電力トップの東京ガスは、通常の買取プランで9.5円/kWh、電力供給とのセットで10.5円/kWhを提示する。ガス供給と電力供給のセット割もあるので、エネルギー支出を抑えながら、お得に売電することができるというわけだ(東京ガスからガスを買わず、売電のみを行うこともできる)。

最近では、はりま電力(兵庫県姫路市)が15円/kWhという高額な買取価格を発表して注目を集めた。はりま電力は小規模な地域新電力だが、地元のプロパンガス会社と提携し、ガス供給と電力供給のセット契約を前提に、高額な買取価格を実現した。

●新電力会社の主な買取メニュー


出典:各社HP・プレスリリースより作成



生協系は買取電力もシェア

地域新電力としては、各地の生協の取り組みも興味深い。2000年に市民生活協同組合ならコープのグループ会社として設立された新電力、ならコープでんき(奈良県天理市)の買取メニューは次のとおりだ。

ならコープ組合員は10円/kWh、ならコープでんき契約者は11円/kWh、ならコープでんき契約者で「再エネ協同基金」参加者は12円/kWh。

再エネ協同基金とは、「地域での再生可能エネルギーや省エネルギーの普及を進め、自立分散型エネルギー社会の実現を目指し、持続可能な社会づくりと地域環境保全に寄与する事を目的」とした取り組みだという。

ならコープでは、「大切なエネルギーは、地域のエネルギーとして、地域の組合員のみなさまにお届けします。あなたの作った電気、みんなでシェアしませんか」と呼び掛けている。


需要家が「再エネ価値」を買う

大手電力のなかでは、中部電力がユニークだ。前回の記事でも触れたとおり、卒FIT電力をAmazonギフト券やWAONポイントなどと交換できる独自の買取サービスを展開する。

その1つである「WAONプラン」は、買取価格に応じてWAONポイントを付与(2ポイント/kWh)するとともに、買い集めた卒FIT電力をイオンの店舗で使用することを約束するものとなっている。

イオンは、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟しており、自社で使う電力の再エネ比率を高めることに努めている。

こうした電力需要家のニーズと結びつけることで、中部電力は高い買取価格を実現しているのだ。

●卒FIT太陽光を活用した再エネ小売取引の一例


買い取った卒FIT電力の販売先を特定できるプランを用意。WAONプランで買い取った電力はイオンの店舗運営に使われる。家族や知人にシェアできるオプションもある。出典:中部電力プレスリリース

また、早くから高い買取価格を発表し、異彩を放っていたのが積水グループだ。

積水化学工業では、同社の住宅「セキスイハイム」に住んで太陽光発電を行っている家庭を対象に買取サービスを実施する。買い取った電力は、他のセキスイハイムに暮らす家庭や、同社の工場・事業所で使われることになる。

買取価格は、その家庭に蓄電池があるかないかで異なり、蓄電池がない場合は9円/kWh、蓄電池がある場合は12 円/kWhにアップする。

積水化学工業は、イオン同様に自社の再エネ比率を高めることに努めており、卒FIT電力買取は、同社自身のための再エネ電源調達という意味合いも大きい。

卒FIT電力は、国の補助制度から自立した電源であり、FIT電力には認められていなかった「再エネ価値」が公的に認められた電源でもある。再エネ価値を明確化し、それを求める電力需要家と結び付けるサービスは、今後着実に増えていくものと予想される。

●新電力による卒FIT電力の買取の一例


セキスイハイム邸から卒FIT電力を買い取り、他のセキスイハイム邸やセキスイハイム向上・事業所に共有する。出典:積水ハイムHP



蓄電池とセットで最大16円

もっとも高い買取価格として注目されたのが、NTTスマイルエナジーとパナソニックの共同サービス「エコメガネ卒FITプラス」で、16円/kWhだ。

買取対象となるのは、NTTスマイルエナジーの太陽光遠隔監視サービスの契約者で、かつパナソニック製蓄電池やエコキュートなどの対象商品を対象期間中に購入したユーザーに限られる。

16円の適用は1年間のみで、以降は減額される期間限定のキャンペーンだが、卒FITを機に蓄電システムの導入を検討している方には参考となるプランだろう。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.30(2019年夏号)より転載

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