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新たに創設された容量市場制度。活性化に向けた措置とは?

経産省によって「容量市場におけるガイドライン」案がまとめられた。従来の制度では、電気料金の高止まりや、必要な調整電源を確保できないといった問題が長期化する恐れがあるという。そこで最も効率的に持続的に必要な供給力等を確保するため、新たに容量市場制度が創設されたのだ。

容量市場
7月の初入札に向け準備万全
ただしFIT電源は参加不可

2020年7月に初入札を実施する予定の容量市場は制度整備が着々と進んでいる。経済産業省資源エネルギー庁は5月末に容量市場の入札ガイドラインをまとめた。

容量市場は電力量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)を取引する市場だ。将来にわたる日本全体の電力供給力を効率的良く確保するために、発電所などの供給力の価値を市場取引によって現金化し、多様な発電事業者などが市場に参加して電源を維持する仕組みだ。

この市場では、実需給期間の4年前に入札を実施する。2020年度に開設し新型コロナ災禍による影響がないならば、今年7月に2024年度向けの初入札が実施される見通しだ。参加は任意であり、基本的に供給力を提供できるすべての電源などが参加できる。大型火力発電、原子力、大型水力はもちろん、DR(需要制御)システムでも1000kW以上の供給力を提供できるならば、発動指令電源として参加できる。

ただしFITに認定された電源は、同制度において固定費を含めた費用回収が担保されているために、容量市場への参加は認められない。一方で、FIT期間が満了した再生可能エネルギー発電所であれば参加可能となる。

広域機関が市場管理者に
原資は小売業者が負担

電力広域的運営推進機関(広域機関)が容量市場の管理者となり、年間最大需要の実績値などにもとづいて需要の量と価格の水準を決め、需要曲線を定める。そのうえで発電事業者を対象に全国単一で容量を募集する。入札結果にもとづいて、供給曲線もひかれ、需給両曲線の交差点により、取引量と取引価格が決まる。

落札された電源を持つ発電事業者は、広域機関と容量確保契約を結ぶ。契約期間は実需給年度の1年間。この契約により落札電源には「年間で一定時間以上、稼働可能な計画にしておく」などの要件が課される。これにより契約年度において、kW価値が確実に発揮されることを担保する。発電事業者は要件の達成に応じて対価を受け取る。広域機関が発電事業者に支払う対価の原資のほとんどは、小売事業者が容量拠出金として負担する。

監視等委は売り惜しみや
価格つり上げを厳格監視

経産省は5月下旬にインターネット中継による有識者会合を開き、容量市場について議論した。容量市場を活性化させるために、売り惜しみや価格つり上げの防止に言及。売り惜しみは、市場支配力を持つ発電事業者が正当な理由なく稼働が決定している電源を応札しないこと。価格つり上げは、電源を維持するために容量市場から回収が必要な金額を不当に上回る価格で応札することだ。

会合ではさらに、電力・ガス取引監視等委員会が厳しく監視することで合意がなされた。2020年度に実施される初入札では前年度実績がないため、全国で計500万kW以上の発電所をもつ大手電力会社、東京電力グループと中部電力が出資する発電会社のJERAや、電力卸売会社大手
のJパワーを、監視対象事業者として選定する。

売り惜しみの監視方法として、監視等委は市場支配力を持つ発電事業者が応札しなかった電源に対して理由の説明を求め、根拠となる資料を提出させることとした。また価格つり上げの監視方法として、監視等委は価格つり上げの疑いがある電源について、応札価格の算定方法と算定根拠について説明を求める。

着々と準備が進んでいる容量市場だが、それでも市場そのものの必要性に懐疑的な有識者は多い。大手電力会社出身のエネルギーコンサルタントは、「容量市場は大手電力会社や、火力発電所を所有する大手新電力の大型発電所を維持するための、実質的には経産省の補助金だ。そんなことより日本卸電力取引所(JEPX)で日々取引する電力量(kWh)を欧米の取引所並みに増やすことのほうが重要だろう」と指摘する。 


取材・文/南野彰

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