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IPCCの第6次評価報告書、人間活動が温暖化の主因「疑う余地がない」

IPCCが、第6次評価報告書(AR6)の第一弾となる第1作業部会(WG1)の政策決定者向け要約を発表した。注目は、温暖化の主因が人間活動であると初めて明記した点だ。パリ協定の「2℃目標」の達成に関する厳しい見通しも明らかになった。

温暖化の主因は人間活動
第6次評価報告書で初めて断定

8月9日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が第6次評価報告書(AR6)を発表した。評価報告書とは、5~7年おきに発行される気候変動に関する事実を明らかにするレポート。今回、自然科学的根拠を取り扱う第1作業部会(WG1)の政策決定者向け要約(SPM:Summary for Policymakers)が発表された。

第6次評価報告書のSPMには「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と明記された。温暖化の原因が人間活動であると断定した点がポイントだ。というのも、これまでは、人間活動が主要因である可能性が高いとするものの、断定は避けられてきたからだ。

SPMで示された、1850~2020年の世界平均気温の変化は次の通り。実際の観測値と人間活動がない場合を想定したシミュレーションを比較し、人間活動が気温変化にもたらした影響を示した。


(出典:環境省『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書 第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)』)

「2℃目標」に厳しい見通し
達成にはCO2削減の加速が必要

2100年までの気温変化の予測については、CO2削減量に応じた5つのシナリオによるシミュレーションを行った。このシミュレーションによると、今後数十年間にCO2を大幅に削減できなければ、2100年までに気温上昇が2℃を超えるとした。


(出典:環境省『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書 第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)』)

また、温暖化に伴って、極端な高温や海洋熱波、大雨、干ばつの頻度と強度、強い熱帯低気圧の割合なども拡大するとした。

第6次評価報告書は、今後、影響や適応・脆弱性に関する第2作業部会、緩和策に関する第3作業部会を経て、2022年9月に統合報告書が提出される見通しだ。今回のSPMが、今年11月に控える国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)にどのような影響を与えるか、注目が集まる。

DATA

環境省 報道発表資料


文:山下幸恵(office SOTO)

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2021/06/24 | 編集部からのお知らせ

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