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発電側課金、認定済みFIT/FIP案件の買取期間中は対象外とする方向に。経産省

発電事業者に再エネの系統連系コストの負担を求める「発電側課金」。課金方法の見直しや国の脱炭素宣言など3年以上にわたる紆余曲折の末、ようやく方向性が定まりつつある。注目されたFIT/FIPの既認定案件の取り扱いに関する議論の結果をレポートする。

2024年度にも導入の発電側課金
kWとkWhの課金割合は1対1

そもそも発電側課金とは、再エネなど発電設備の系統連系にかかるコスト負担を発電事業者に求める新たな制度だ。現在、こうしたコストは託送料金に含まれており、小売電気事業者を通じて需要家が100%負担している。しかし、2024年度を目処に、そのうちの1割相当を発電側課金として発電事業者に課す方針が決まっている。(参考『「発電側課金」、脱炭素宣言などを受け引き続き検討。2022年内に結論の見通し』)

(発電側課金の概要。出典:電力・ガス取引監視等委員会)

発電側課金は当初、契約kWだけに課金することで検討されていた。その後の議論を経て、kW課金とkWh課金の割合を1:1にすることに見直された。これによって、設備利用率の低い太陽光発電の負担単価が引き下げられると期待できる。太陽光発電の設備利用率を14.2%と仮定した場合の負担単価のイメージは、下図の通りだ。

(参考:各再エネ電源における見直し前後の負担単価イメージ。出典:電力・ガス取引監視等委員会)

既認定案件は買取期間中対象外に
新規や非/卒FIT案件には課金へ

経済産業省のこれまでの検討における焦点の1つが、FIT/FIP案件を発電側課金の対象に含めるかどうかという点だ。経産省は12月6日に開催した第47回 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で、FIT/FIP案件の発電側課金の扱いについて議論した。

同委員会によると、発電側課金を早期に導入する考えから、認定済みのFIT/FIP案件については、買取期間が満了してから発電側課金の対象にすることで概ね合意した。つまり、既認定のFIT/FIP案件は、買取期間中は発電側課金の対象から外れるということだ。

新規のFIT/FIP案件は、調達価格の算定時に価格を考慮することで、発電側課金の対象に含めるとみられる。非FIT/卒FIT案件も、相対契約など事業者の創意工夫を促す観点から、発電側課金の対象とする意向が示された。

また、再エネなどの電源で発電した電気を充放電する揚水発電や蓄電池についても、系統利用者であることから発電側課金の対象とする考えが打ち出された。ただし、揚水発電や蓄電池は、kW課金のみとし、kWh課金は免除する方向性が示されている。発電側課金の具体的な制度設計には、今後も注意が必要だ。

DATA

経済産業省 総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第47回)


文:山下幸恵(office SOTO)

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