【セミナーレポート】有識者が語る「卒FIT後」の太陽光発電市場の行方は?
2019/04/24
2019年4月16日に開催した、「第2回次世代パワエレシンポジウム+第13回PVビジネスセミナー」。今年11月に控える"卒FIT"の話題を中心に、太陽光発電所の安全性向上やリパワリングに関して語られた。当日の様子をレポート!
長期運用を見据えた
「リパワリング」に注目
卒FITを切り開く重要な手がかりが、「次世代パワーエレクトロニクス」だ。今後、住宅や工場の屋根上、農地での発電などが普及する中で、物理的に太陽光発電に近くなり、より安全性が求められる。
次世代パワエレなら、モジュール、ストリングレベルでの安全性のほか、発電量、監視精度、システム設計自由度の向上も見込める。また、20年、30年後の運用を見据えて、途中でシステムを更新し出力を最適化する「リパワリング」も注目される。
さらに、卒FIT電力に環境価値が見い出されることから、「RE100」の分野においても新しいビジネスの登場が目されている。
ソーラージャーナルでは、「発電所の資産価値を高める『安全向上』と『リパワリング』」と題した次世代パワエレシンポジウムと、「『RE100』を見据えた太陽光のビジネス戦略」と題したPVビジネスセミナーを同時開催した。
次世代パワエレシンポジウムでは、東芝エネルギーシステムズの稲葉道彦氏をファシリテーターとして、タイゴエナジー、ソーラーエッジテクノロジージャパン、アンプトジャパンによるセッションが開かれた。
またPVビジネスセミナーでは、ISEPの飯田哲也氏、経済産業省の山同康太氏のほか、ジンコソーラージャパン、ライセンエネルギーから最新のトレンドが示された。
太陽光発電関係者ら約200名が参加し、セミナー終了後のネットワーキングディナーも、情報交換やビジネスマッチングの有益な場となった。
再エネ業界の有識者が
展望を語る!
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部
新エネルギー課 統括係長
山同康太氏
太陽光発電を取り巻く国としての現状認識を整理。今後、再エネを主力電源化すべく未稼働案件の対応や入札対象範囲の拡大といった道筋を示し、「コスト競争力+長期安定電源化」を加速的に深堀りする必要を訴えた。
東芝エネルギーシステムズ株式会社
エネルギーアグリゲーション統括部 技術エキスパート
稲葉道彦氏
モジュール、ストリングレベルで発電を制御する次世代パワエレが、自家消費、卒FITの時代を切り開くO&Mの新しいかたちだと主張。発電所の安全性、継続性を打ち出す各社の話をもとにリパワリングの重要性も説いた。
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所 所長
飯田哲也氏
エネルギー地政学は激変し、日本の太陽光発電の政策環境も変わる一方、出力抑制や原発再稼働など世界とは逆行する動きを憂慮。蓄電池を使ったプロシューマージャー(電力生産貯蔵消費者)へのシフトを強調した。
セミナー後に開かれた無料のネットワーキングディナーは、事業提携や注文発注など、さまざまなビジネスチャンスの場となった。
協賛企業
アンプトジャパン合同会社
アンプト本社はアメリカのコロラド州フォートコリンズにあり、北米、ヨーロッパ、中東、日本を拠点としたアジアで事業を展開。革新的な電力変換技術と通信技術で開発したDCオプティマイザを使用することで、発電量収入を飛躍的に向上させ、長期間での効果的なメンテナンスが可能となっている。
ソーラーエッジテクノロジージャパン株式会社
ソーラーエッジはクリーンエネルギーを手頃な価格で普及させることを目的とし2006年に創業。モジュールレベルで発電量を最大化する革新的なソリューションは、さらにモジュールレベルのモニタリング、類を見ない安全性、設計自由度の向上などにより、高い評価を受け、急速な成長を遂げている。
タイゴエナジー
タイゴエナジーはシリコンバレーの技術者や実業家らが集まり、2007年にカリフォルニアのロスガトスに設立された。アメリカだけでなく世界多くの地域でMLPEの需要に伴い急成長している企業。太陽光発電システムの効率性と安全性の向上を目指している。
ジンコソーラージャパン株式会社
ジンコソーラーは2006年に中国江西省で創立、2010年にニューヨーク証券取引所上場、2013年日本市場を開拓。2016年に世界第1w位の結晶太陽電池メーカーとなる。世界トップレベルかつ信頼性の高い太陽光発電システムソリューションを提供する会社として確固たる地位を築いている。
ライセンエネルギー株式会社
ライセンエネルギー本社は1986年に中国浙江省寧海(ねいかい)市に設立され、2010年に深圳に上場した中国大手ソーラーパネル製造企業。太陽電池セル及びモジュールの研究開発から生産、販売、サービスまで一貫体制の上、ソーラー案件投資開発、EPC建設もメイン業務として取り扱っている。
SOLAR JOURNAL vol.29(2019年春号)より転載