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アフターFITの世界で輝く「再エネの価値」とは何か?

発電事業の基準が変わるということ

このコラムで最も言いたいのはここからだ。

FIT制度スタート初期の事業、特にメガソーラーはとにかく超安全なビジネスだったというのが、衆目の一致するところであった。FITは認定された価格が20年先まで保証されて利益が固定化されるのだから、こんな楽な事業はない。つまり、再エネの発電事業の価値を判断する『基準』がFITの価格であったといえる。

ある一定の広さの土地がある。年間の平均日照時間のデータを見る。置けるパネルの量が決まり、建設費を想定する。FITの買取価格はわかっている。よって、「20年間で○億円の利益」とすぐに計算できた。数字さえあれば、2,3分の世界である。事業をやるかやらないかの判断もあっという間ででき、誰でもほぼ同じ答えが出る。

さて、FITが終わってその『FIT基準』がなくなる。今後の基準は「発電した電気をいくらで買ってくれるか」である。ただし、FITのような固定ではなく、電気を使うお客さんが決めるのだ。通常は市場を通じてということになる。



確かにFIPはあるが、市場での不確定要素はずっとついて回る。ある意味で、もともとの資本主義社会のシステムに戻るということでもある。

ところが、実はここに別の新しい基準が現れようとしている。それを忘れてはこれからの発電に係るビジネスはできないという重要な基準である。

それが「再エネの価値」である。これまで電気はみな同じで色も付いていないとよく言われてきた。「1kWhは1kWhで同じ働きをして同じ価値だ。だから安く提供できるものが勝つ」と。ここにきて、風向きは大きく変わってきている。ご存知のように、世界的な企業はRE100にこぞって参加し、再エネ電源で企業活動を進めることを競いはじめた。日本企業のRE100参加は23社までに膨れた。

さらに、自治体や官公庁、中小企業が参加できる再エネ100%協議体『再エネ100宣言RE Action』が10月9日に誕生した。FITという基準が消えようとするときに、再エネという新しい価値が力を見せてくるのは偶然ではない。もともとFITの買取価格は再エネ拡大のためであり、国が無理矢理、価値を決めて上乗せしたものであった。それが、一定の役割を果たして舞台裏に下がっていく。代わりに民間企業が今度は自らで価値を加えて舞台に上がってきたのである。

再エネの価値はだれが決めるのか

すでにFITの電力売却を前提にせず、再エネ発電自体をビジネスにする事業者が現れてきている。

FITでは、発電事業の事業性は買取価格でほぼ自動的に計算されてきた。一方、今後は、基本的に卸売市場の平均価格と発電単価を比べて、利益が見込めるかどうかを判断することに戻る。

しかし、再エネ電力ビジネスでは、市場の平均価格に再エネの付加価値分が加わることになる。再エネ電力を普通の電気より少し高く買ってくれるかもしれないのである。その分、事業の可能性が広がることになる。

今後の発電事業のひとつのポイントはこの付加価値をどう把握できるかにかかってくる。これを客観的に知る方法のひとつは、現状では、非化石証書の入札の動向である。ただし、最低価格の1kWh当たり1円30銭では昨年度は99%以上が売れ残った。一方、Jクレジットの1kWh当たり90銭を少し超える額ではほぼ完売になっている。市場に出る量の違いもあって一概には言えないが、1円を切る数字がある程度ベースなのかもしれない。



一方で、マーケットよりさらに確かなのが、顧客の動向そのものである。例えば、RE100に参加する企業に問うてみればその意向の一端を知ることができる。TPO(第三者所有方式)やPPA(電力販売契約)というシステムは、より顧客と密着して再エネ電力を供給する仕組みだ。アフターFITとは、自らが顧客の志向を捉えて、顧客を開拓する世界でもある。

また再エネの価値は、それを生み出す地域の価値でもある。遠い場所から大量の原料を運んで電気を作り出すマスのエネルギーの時代は過ぎ去りつつある。再エネは地域のエネルギーであり、地産地消の価値も含まれるのだ。新しい価値を生み出して活用するポテンシャルは地域にあり、それをいかに地域内で使えるようにするかで、地域の将来は決まってくると言っても過言ではない。

プロフィール

エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

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