風力

FIT改正後の小形風力発電、事業化のポイントは?

小形風力発電は、どうなっていくのか。固定価格買取制度(FIT)が改正されても、依然として高い買取価格(55円/kWh)を維持する小形風力発電への関心が高まっている。小形風力発電事業において、いま重視すべきポイントとは……?

資源エネルギー庁 呉村氏、
小形風力にも滞留案件の懸念

日本クリーン環境推進機構(JCEP)が5月25日、日本小形風力発電協会との共催により、「小形風力発電をめぐる最新動向と将来展望」をテーマに講演会を開催した。講師を務めたのは、風力発電研究の第一人者として知られる牛山泉 足利工業大学理事長はじめ、産官学のエキスパート4人。生まれ変わったFITの影響や、小形風力の事業性を探ろうと、会場となった都道府県会館(東京都千代田区)には全国各地から幅広い再生可能エネルギー関係者が集まった。

最初に登壇したのは、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 課長補佐の呉村益生氏。4月1日から施行された改正FIT法を踏まえ、小形風力発電の現状と事業実施における留意点についてレクチャーした。

小形風力発電(20kW未満)のFIT認定量は、昨年12月には64,605kWに達している。太陽光などと比べれば微々たる量だが、この3年間の伸び率は凄まじい。一方で、実際に運転開始しているもの(導入量)は1,437kWに過ぎず、認定量と導入量の大きな落差が気になるところだ。

呉村氏は、「この差があまりに拡がると、認定だけ受けて運転を開始しない滞留案件が問題になりかねない。我々としては、認定を受けた方々がしっかりと事業に取り組んでいるのかということを、逐一確認していこうと思っている」と述べた。

小形風力発電のFIT認定量・導入量の推移

地域との共生が課題
自治体条例違反で認定取消も

また、改正FIT法については、「事業の適正化、発電事業者としての責任を求めるということを大きな方向性として示している」とし、その一環として「地域との共生」がますます重要になってきていることを強調した。

改正FIT法には、「関係法令等の順守」という要件が盛り込まれているが、この意味は極めて大きい。関係法令には地方自治体の条例も含まれ、それに反した場合は、その法令によって罰せられるだけでなく、改正FIT法における改善命令や認定取消の対象にもなってくるのだ。

また、「住宅地から300m以上離れていること」「周囲の景観と調和が図られていること」など、自治体独自に小形風力発電に関するガイドラインを定めるところも出てきており、それらに対しても十分な配慮がなされなければならないという。改正FIT法においては、知らなかったでは済まされないのだ。

風力研究の第一人者 牛山氏、
日本のポテンシャルに期待

続いて講演を行った足利工業大学理事長の牛山氏は、風力発電の内外動向と日本における小形風力発電の課題を、豊富なデータをもとに解き明かした。


風力発電の現状と可能性を語った牛山泉氏

各国の風力発電の導入量は、着実に伸び続けており、2016年12月末時点で、世界では約4億8700万kWの風力発電が導入されている。これは日本の全電源の発電設備の合計(約2億9200万kW)よりもはるかに多い。また、太陽光発電と風力発電の導入率をみると、世界では圧倒的に風力発電が主流なのに対し、日本では再生可能エネルギーの大半を太陽光発電が占めている。

各国の風力発電導入率

しかし、日本における風力発電のポテンシャルは、決して小さなものではない。環境省の試算では、太陽光のポテンシャルが 1億5000万kWであるのに対して、風力(大形・小形・洋上含む)のポテンシャルは19億kWと桁違いの大きさを示している。日本の風力発電には、とてつもない可能性が秘められているのだ。

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